保育における粘土遊びの導入とねらいとは?
子どもたちが大好きな粘土あそび。
でも、ただなんとなくあそばせているだけ、ということはありませんか?
保育者のちょっとしたことばかけや援助によって、子どもたちの発想が広がったり、創作意欲が高まったりすることもあります。
保育に活かすアイデアや保育者の関わりを見ていきましょう。
保育者のサポートで、子どもの粘土あそびを広げよう
粘土あそびの魅力は、粘土のここちよい感触が心の安定につながることや、つぶす、たたくなど全身を使ってかかわることで気持ちを発散させられることです。
また、自分の力加減ひとつで自在に形を変えられるので、ワクワクする面白さもあるでしょう。
自分の働きかけで形が変わり、その結果が作品となることで、自信にもつながります。
粘土あそびの基本は、子どもが自分で取り組み、発見し、展開させていくことにあります。
保育者はさまざまな粘土の特性を理解し、用途に応じて子どもに与えることが大切です。
そして、子どもたちのようすをよく観察し、共感したり、適切なタイミングで声をかけたり、補助材を提供したりすることで、粘土あそびの世界を大きく広げていきましょう。
主な粘土の種類と特徴
油粘土
土に油を混ぜた粘土で、そのままでも固くならず、手につきにくい。温まると軟らかくなるが、質感はほぼ一定の粘土。造形したものを元に戻すことができ、繰り返しあそぶことができる、ふだんのあそびに向いている粘土です。
土粘土
天然の土からできている粘土で、粉状の場合は、水を加えてこねて粘土にします。
水分量によって硬さが変わり、乾くと固まるが、水分を加えると再び軟らかくなります。
日常の粘土あそびのほか、足でふみつけたり、グループで大きな作品に取り組んだりするときにもおすすめな粘土です。
ドロドロした状態から、固くなってカチカチになる変化をみるのも楽しいです。
作品途中で保管したい場合は、ぬれた布で包んでビニール袋に入れれば、軟らかいまま保管することができます。
小麦粉粘土
市販品もあるが、小麦粉に水と少量の油をまぜて、手でこねて作ることができます。
かびが生えやすいため、保管はできません。
口に入れても安心なので、特に乳児におすすめの粘土。粘土そのものを作る過程も楽しく、食紅などをまぜて色粘土にすることもできます。
ただし、小麦粉のアレルギーがある子がクラスにいる場合は、小麦粉粘土の使用は禁物です。
万が一に備えて、アレルギーのある子だけでなく、クラス全体で使用しないようにします。
紙粘土
乾くと固まって、元には戻りません。
長く触っていると、あそんでいる最中に乾燥してひびが入ることもあります。
絵の具をまぜて色粘土をつくったり、しあげに色をつけたりすることができます。
保存作品に向いています。
その他の粘土
焼成用のテラコッタ粘土、色ツヤが美しい蜜ろう粘土、木や石の粉を含んだ粘土、人工的な素材の樹脂粘土など、さまざまな粘土があるので、子どもの制作活動に応じて適切なものを選びたいですね。
まずは粘土と仲良くなろう
いきなり造形を目指すのではなく、粘土の感触を味わったり、形が変わっていく過程を楽しんだりすることから始めましょう。
使う粘土は油粘土や土粘土がおすすめです。乳児には小麦粉粘土が安心でしょう。
ふだんの保育のなかで粘土に慣れしたいんでおくと、作品作りにも自信を持って取り組めるようになります。
自由にあそぼう
保育者は、子どもがどんなふうに粘土に親しみ、何が起こるのかを眺めるくらいの気持ちで見守りましょう。
そのうえで、あそびのようすに合わせたことばかけをして、遊びの展開を援助しましょう。
また、床にビニールシートを敷き詰め、裸足になって、大量の土粘土で自由にダイナミックにあそばせるのもおすすめです。
一人あそびからコミュニケーションや共同制作に発展していくことでしょう。
例えば、粘土でハンバーグをつくっていたら、お皿やコップをだして、ごっこあそびに誘ってみるとよいでしょう。
お皿やコップを粘土で造るのも楽しいですね。
おだんごをつくっていたら、さりげなく板を渡して、おだんご並べや玉転がしに誘ってみましょう。
指に粘土を突き刺している子どもがいたら、指人形に見立てて、あそぶのもいいですね。
土粘土の保管方法
片付け
10cm四方くらいの立方体にまとめ、表面積を増やすためにところどころ指で穴を開け、霧吹きなどで湿らせてからビニール袋に入れ、ポリバケツなどの密閉容器で保管しましょう。
乾いて固くなったら
かたまりが大きい場合は、金づちなどで砕き、水といっしょにビニール袋へ入れ、密閉して日陰で保管しましょう。
次のページでは粘土を楽しむ工夫をご紹介します。