子どもの思いに技法があとからついてくるので、大きく構えてみましょう。
画用紙を使った造形あそびをしているとき、ある子ははさみを使い、ある子ははさみを使えなくてビリビリと紙を破ったとします。でも、子ども自身が破ることを楽しんでいて、たくさんやぶった達成感を得ていれば、、やがてその思いが次の育ちにつながります。造形あそびでは、作品の成果よりも、製作の過程での心の動きが大切で
す。はさみをうまく使えない子はその子の発達に合った道具や素材との関わり方があるはずです。全員が同じ素材を使って同じ技法で同じものを作らなくてもいいのです。
また、みんなが作っているときに何もしない子どもがいても、心配しないで見守りましょう。友だちがつくっているようすを見ることでも心は動いています。「楽しそうだね」と声をかけたり、「○○くんも触ってみる?」といっしょに素材に触れたりしてみましょう。ほかの素材には興味があるかもしれないので、余裕があれば素材をいくつか準備してみましょう。
●例えば、こんな素材なら・・・
・粘土
だんごを丸めるのは、左右の手の動きが別々なので、乳児期や不器用な子には意外と難しいものです。まずは粘土を置いて両手をのせ、前後にゴロゴロ動かしてみましょう。両手が同じ動きだと、小さい子でも簡単にでき、粘土がどんどん細長く伸びていく変化が楽しめます。
・絵の具と筆
年少児が初めて絵の具を使うときは、できるだけ筆に一度絵の具をつけたら、一筆で絵が完成するよう、特太の丸筆を用意しましょう。一度でたっぷりと絵の具を含むので、長い線が描けます。「筆のお散歩だよ~」といいながら楽しむとよいですね。