縦割り保育のねらい、メリットやデメリットとは。

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縦割り保育は異年齢保育とも呼ばれています

縦割り保育を行う園が増えてきています。

ことばはよく聞くけれど、実際のところ異年齢保育にはどのようなよさがあるのか、考えてみましょう。

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一緒に生活することで成長できる

「異年齢保育」とは、年齢の異なる園児が同じクラスですごし、生活をともにする、保育の方法のひとつで「縦割り保育」とも呼ばれています。

この異年齢保育を取り入れている園は多くありますが、実際にどのようなことをやっていて、どのようなよさがあるのでしょうか。

異年齢保育を実施していない園でも、ホールや園庭で異年齢の交流を行っている園もありますね。

そういう園でも、子どもたちがお互いをより理解しあうためには、あそびや行事で関わるだけでなく、食事や着替えなど、生活をともにして異年齢の子の実態を目の当たりにすることで、一人ひとりお互いの姿が見える、気づく、そして、わかるようになることがあるようです。

異年齢保育を通して、子どもたちはクラスや年齢が違う子がそれぞれにできること、思うことに気づき、さまざまな経験をすることで、思いやる心、そして人と関わる力が育ちます。

異年齢保育のよさ

心のつながりが持てる

食事やトイレ、着替えなど、生活をともにすることで、大きい子どもは小さいう子どもができなくて困っているようすに気づき、保育者に言われなくても自然にサポートできるようになります。

同年齢児が集まるクラスとは違う立場に立てる

ふだんはクラスのみんなのみんなについていいっているようなタイプの年長児が、年少児や年中児といった自分よりも小さな子どもと関わることで、お兄さんやお姉さんのような存在になることができます。

異年齢の関わり合いで見られる育ち

(小さい子)やさしくされた経験が翌年につながる

大きい子にやさしくしてもらって「うれしかった」という経験が心に残り、自分が年長になったときは同じように小さい子にやさしくあげようという気味地になれる。

(小さい子)いろいろな刺激を受けて積極的になる

大きい子がじょうずに着替えたり、いすを運んでいるのを見て、自分もやってみようと試みるなど、積極的な活動が生まれる。

(小さい子)年上にあこがれ、自分の成長が楽しみになる

平均台の上をひとりで歩くなど、いろいろなことができる年長児や年中児をみて、「自分も年長や年中になったらできるんだ」と楽しみになる。

(大きい子)いろいろな立場の人がいることを知る

自分を中心に考えていたのが、自分より幼い子がいることによって、相手の立場に立って考えられるようになった。

(大きい子)思いやりの気持ちが持てる

小さい子と接することで、「まだ小さいから、やさしくしてあげよう」「ゆずってあげよう」と自然に思えるようになる。

異年齢保育の実践

異年齢保育の取り組み方は園によってさまざまですが、事前の準備から異年齢保育の実践、そして振り返りまで、一通りの流れを見ていきましょう。

異年齢保育をいつから始めるか、クラス編成をどうするか、どんな活動をするかなど、保育者どうしで十分話し合って準備を整えましょう。

実際に保育を始めてからは、日々の振り返りや定期的な会議などで状況を伝えあい、保育者どうしで情報を共有しましょう。

準備

異年齢保育のよさを引き出すためには、事前の準備が必要です。保育者どうしでしっかり話し合いましょう。

期間を決めたり、クラス分けをしたりする

毎日にするのか、週何日とするのか、また1学期だけ、2学期だけ、1年とおして行う、それと行事や活動内容によって決めるなど、実施期間にはさまざまな選択肢があります。

また、クラス分けも、月齢の近い子どもがかたまらないようにしたり、園児や保育者の数などによって安定できる組み合わせを考えましょう。

それぞれのクラスの子どもについて、共通理解をしておく

クラスや年齢が交ざって活動をするため、保育者はふだん担当するクラス以外の子どものようすについても知っておく必要があります。

一人ひとりの育ちについて保育者どうしで情報交換をし、配慮が必要なこどなどを把握しておきましょう。

どんな活動をするか計画を立てる

年少~年長児までがいっしょに楽しめるあそびを考えます。

例えば、泥あそびのように、年少児は感触を楽しみ、年長児はダイナミックにと年齢によって楽しみ方は違っても、同じ場所で同じ素材を使ってあそぶことで、子どもどうしの関わり合いはうまれます。

特別なことでなくても、子どもどうしが自然に関わり、刺激し合えるような環境をつくることができればよいでしょう。

ふだんから大きい子が小さい子を手伝う経験をしておく

4月に年少児が入園してきたら、年中児や年長児は年少児のクラスに行って、着替えや食事の手伝いをするなど、事前に関わりをもっておくと、スムーズにスタートできます。

異年齢保育をスタートするときに、年長児は年少児の面倒をみてくれるだろう、年少児は年長児を頼りにするだろうという予測はたてやすいものですが、間にはさまれた年中児はどうなるのでしょう?

実際に異年齢保育をしてみると、年中児は年長児の行動をよく見ていて、「自分も年少の子を助けてあげたい」と思うことが多いようです。

年長児がいないときなどは、年中児が年少児をサポートする姿も見られるでしょう。

異年齢保育を体験することで、自分の立場をよくわかって動けるようになります。

1学期の異年齢保育の実践

1学期は、新しいメンバーと「交流」する期間です。子どもたちが親しくなれるように、楽しいあそびをたくさんしましょう。

保育者は、年少児が困っていたら、「年長さんや年中さんはたすけてあげて」と言いたくなるかもしれません。ですが、まずは子どもがどのような行動をするのかを黙って見守ることも大切です。異年齢保育が始まったばかりのころは、子どもたちは、年齢の違う子どもがどんなことをするのかを観察しています。

小さい子が困っているのを見ても、すぐには手助けしてあげられないかもしれません。

もし、年長児が自ら手助けすることができたら、「さすがお兄さん(お姉さん)だね」と褒めてあげましょう。

保育者はいっしょにあそび、まずは心の安定から

異年齢の子どもどうし、特に年少児はすぐにはいっしょにあそべないかもしれません。

そんなときは焦らず、保育者と一緒にようすをみるところから始めましょう。

あそびのようすや状況が分かり、心が安定してくると、自然と参加できるようになっていきます。

いっしょに食事をすることで助け合える

お弁当を包みから出せない年少児に、隣にいた年長児が気づき、自然な流れで包みを開いてあげるなど、異年齢の子どもたちがいっしょに食事をすることで、大きい子は小さい子の「できない」ことに気づき、助けてあげることが自然とできるようになります。

クラス内でグループをつくり、仲間意識をもつ

ひとつの異年齢クラスのなかでもグループ分けをするとよいでしょう。

3人組の仲間をつくっていっしょに活動することで、助け合えるようになり、より仲間意識がうまれます。

グループをつくったときは、同じ色のシールを貼ってつくったブレスレットを身につけ、仲間意識を高める取り組みをすると面白いかもしれませんね。

子どもたちのようすをみて、同年齢保育に戻すことも

異年齢保育を始めたばかりのころは、慣れない環境に子どもたちも疲れやすくなります。

朝のあいさつをして、いっしょにあそぶところまで一区切りとし、昼食は同年齢のクラスで食べるなど、臨機応変に対応しましょう。

2学期以降の異年齢保育の実践

親しくなった子どもたちが力を合わせて行事を盛り上げ、達成感を味わいます。

ひとつの作品をみんなでつくる

2学期には、運動会や作品展、発表会などの行事も多くなる季節です。

異年齢児がいっしょにひとつの作品を作ることで、大きい子が小さい子に色の塗り方を教えてあげたり、小さい子は教えてもらったりと子どもどうしの「関わる力」が育まれます。

また、小さい子は色塗り、大きい子は組み立てなど、それぞれができることを分担する姿も見られます。

また、グループに分かれて制作をすることで、より意欲的になることもあります。

いくつかのグループごとに制作をしていると。ほかのグループに負けたくないという気持ちがわき、グループ内の仲間意識がより高まって意欲的に取り組むようになります。

異年齢児競技を取り入れ、運動会を盛り上げる

運動会のプログラムに、異年齢の子どもたちがいっしょにできる競技を組み込むことで、助け合いながら楽しく練習するなど、いきいきと活動ができます。

また、1学期いっしょにあそんだ異年齢の友だちの姿をみて、大きい子は「小さい子が頑張っているな」と感動したり、小さい子は「お兄さんやお姉さんはじょうずだな、すごいな」とあこがれる気持ちがうまれたりします。

役割分担は自然にできていくもの

異年齢保育を始めたばかりのころは、保育者の指示がないと動けなかった子どもたちが、お互いを知って親しくなると、保育者がいなくても助けあえるようになっていきます。

クラス内に家族のような空気がうまれ、年長児は小さい子にいろいろなことをやってあげたい、年少児は年長児に甘えたい、年中児は年長児がやることをみていて、いつか自分がやってあげたいと思うようになります。

異年齢保育の振り返り

異年齢保育に取り組みながら、保育者どうしで子どもたちのようすや変化について話し合い、共通理解を深めましょう。

週1回、翌週につなげる話し合いを

日々の園生活のなかでも、気が付いたことがあれば保育者どうしで話し合いをしますが、1週間のまとめをして翌週のねらいを立てる時間をつくることで、よりよい環境をつくることができます。

総まとめ

年間の総まとめをしましょう。

よかったことを確認するだけでなく、失敗したことも振り返り、翌年クリアするためにはどうしたらよいかを考えます。

保育には「これで完成」という完ぺきなものはなく、もっとよくしていきたいという気持ちをもつことが大切です。

異年齢保育を始めて1年目は、子どもも保育者も先の見通しがもてず、お互いに試行錯誤の日々が続いたかと思いますが、2年目は保育者も腹をくくって取り組めるようになることが多いようです。

1年目よりも安定した状況で子どもたちも順応していくことができるでしょう。

保育者にもメリットがある

異年齢保育には、年齢の異なる子どもとの結びつきが育まれるという、子どもにおけるメリットだけでなく、年少、年中、年長児とそれぞれの育ちがトータルによくわかるという保育者にとってのメリットもあります。

ふだん、燃焼や年中児を受け持っている場合は、大きい子のようすを見ることで進級の不安を解決できたり、子どもたちの成長の見通しが立てられます。

子どもが3年間で経験すること

異年齢保育を経験した年少児が年長児になったときに、子どもたちがお互いを助け合う環境がスムーズにつくられるようになります。

異年齢保育1年目の年長児は、泣いている年少児をみても、そばに行くことができずに何をしたらよいかわからないものです。

それが、2年、3年と続けることで、子どもたちから委ね合う、助け合う雰囲気がうまれ、保育者は子どもたちを応援して見守ることができます。

保護者の理解を得ることも大切

異年齢保育を実施する際、なぜ異年齢保育を行うのか、どのようなことをするのかを事前に保護者に説明し、理解を得ることも大切です。

そして、家庭でも子どもの楽しそうなようすや新しい友だちの話しなどを聞いてもらうなど、子どもの育ちを園とともに見守ってもらいましょう。

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ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび