年度末の保育の反省と総仕上げとは?

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年度末の保育の反省と総仕上げとは?

行事も多く、あわただしい年度末ですが、一年間の保育や教育を振り返って、しっかりと子どもたちを次のクラス、あるいは小学校へ送り出せるようにしたいものですね。一年の保育や教育をしめくくる、この時期に必要な視点と配慮について考えましょう。

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子どもの育ちを振り返りながら、一年の保育の総仕上げを

年度末は、一年間の保育の総まとめの時期であると同時に、進級や進学という園生活の節目に向けて、子どもの意欲を高めていく時期でもあります。

しかし、3学期も半ばをすぎると、作品展や生活発表会などといった行事への取り組みが増える園も多く、さらに年長児の場合、卒園に向けた活動や練習も加わるため、生活があわただしくなってきます。そのため、子どもたちはに肉体的にも精神的にも疲れがたまってきやすくなります。また、この4月からはじまる新しい生活に対して、漠然とした緊張や不安を感じるようになることもあるため、なかには精神的に不安定になる子もいます。

心身ともに子どもがナーバスになりやすい時期であることを踏まえ、年度末という子どもにとってもタイsツナ成長の節目を、子どもが安定して過ごせるよう配慮することが大切です。保育者にとっても忙しい時期であり、日々の活動に追われがちですが、4月からの子どもの育ちをしっっかりととらえ、その育ちを次年度につなげていけるよう心がけましょう。

年度末に欠かせない、保育や教育の視点と配慮

視点 一年の成長を振り返り、、育ちを次年度につなげる。

子ども一人ひとりについて、4月から現在に至るこの一年間の成長をじっくりと振り返りましょう。どんなところが伸びたか、どんなところが課題として残っているのかを把握することは、その子の育ちといまの姿を確実に次年度に引き継ぐ情報の整理につながると同時に、今、その子が必要としている保育の援助の方向性を探る手助けにもなります。

配慮 子どもが自分の成長に気づき、自信をもって進級、進学できる後押しをする

進級や進学という成長の節目を、子どもが自信を期待感をもって迎え、そのトンネルを通り抜けることは、子どもの大きな成長につながります。とはいえ、環境が変わることに対して少なからず不安や緊張を感じるのはどの子も同じです。進級や進学という自信の成長への期待や喜びを感じることで、不安や緊張を取り除いていけるよう配慮しましょう。

こんなことができるようになっていれば、今年度の目標達成

ここでは、この一年で育っていてほしい、と期待される最重要項目を年少児から年長児まで、それぞれ別にしてまとめました。以下の項目は、年度末の子どもの姿をとらえる際のひとつの視点となりますが、子どもの育ちのスピードは一人ひとり違うものです。その子なりの成長を見出しながら、子どもの姿をとらえましょう。

年少児

身の回りのこと(着替え、手洗い・うがい、食事、片付けなどの基本的生活習慣)が自分でできる/友だちに関心をもち、いっしょにあそぶことを楽しむ/園という環境のなかで、保護者から離れても安心してすごすことができる

年中児

意欲的に友だちをあそび、園生活を楽しむことができる/友だちに自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちに気づいたりすることができる/集団生活のルールを知り、それを守ることができる

年長児

集団のなかで自分の力を発揮しながら、友だちと協力してあそびや活動に取り組み、発展させることができる/友だちのよさに気づき、認め合うことができる/思いやりの心をもつ

こんなところ、もう少し伸ばしておきたい!そんなポイントをどう押し上げる?

年度末ならではの利点をいかした関わりの工夫をしたいところですね。

一年をかけて指導してきたことで、この時期にまだ十分達成できていないことを短期間で目標点まで押し上げるということは、確かにそう簡単なことではありません。しかし、年度末のこの時期だからこその指導上のメリットもあります。進級や進学という意識が子どものモチベーションを上げているので、指導の効果が出やすいということもありますが、なんといってもこの時期には4月からの積み重ねがあるので、保育者はその子の性格やそれまでの成長過程をふまえたかかわりをすることができます。また、保育者と子どもの間に強い信頼関係が築かれているので、いつもより多少強い接し方をしても、子どもはそれにこたえようと頑張ることができます。

この時期だからこそできる関わりかたやタイミングを捉えて、「これだけは」という点をしっかりサポートしていきましょう。

必要性を伝えて、本人の意識を高めましょう

改善の努力が必要なことを子どもに伝えるときは、ただ「○○できるようにしよう」「○○してはダメ」と言うだけではなく、本人が「できるようにならないと自分が困る」という自覚を持てるようにすることが大切です。3学期は、進級や進学を控え、子どもたちの頑張る姿が見られる時期です。「お友だちに、おもちゃをどうぞって貸せるようになったら、年中さんになってもたくさんお友だちができるよ」「○分までに食べられるようになると、小学校の給食もみんなといっしょに食べ終わって、休み時間にたくさんあそべるよ」といったことばかけで、子どもの「張り切る気持ち」をじょうずに刺激しましょう。ただし、「できないと小学校にいけないよ」といった否定的なことばは、子どものプレッシャーとなって逆効果になることもあるので控えましょう。

変化球の指導方法を取り入れてみましょう

食事や着替え、片付けなどの生活習慣で、友だちとのかかわり、集団生活のルールなどの面で、その年齢で身につけておいてほしいことが達成できていない子がいる場合は、少しでも成長がみられるよう、最後まで手を尽くして援助したいものです。
基本的には根気よく繰り返し言い続けることにつきますが、その子に対するこの一年の自分の指導方法や対応を振り返り、例えば「子どもを受容し、見守るまたは待つという姿勢に一貫してしまっていた」という場合には、今一度、そうしなければならない必要性をキチンと伝え、とにかく「やってみる」ことを経験させるような対応も必要です。また、担任以外の保育者に話をしてもらうなど、指導の方法を変えるのもよいでしょう。入園、進級当初とは違い、年度末には保育者と子どもとの信頼関係もしっかり築かれています。もちろん、それまでと違う対応をしたあとのフォローは必要ですが、損なわれることのない信頼関係が築かれていることが年度末の利点ともいえます。その子の一年間をよく知ったうえでの愛情を込めた対応は、必ず子どもに伝わることでしょう。

進級や進学への期待感を高め、本人のやる気につなげましょう。

進級や進学に向けた子どもの「張り切る気持ち」をじょうずに刺激することで、子どものやる気を引き出すことができます。しかし、いうまでもなく、それには進級や進学に対する前向きな気持が子どもに芽生えていることが必要です。「年長になったら○○しないといけない」というように、「ねばならない」という話をすると、子どもは不安を抱いてしまうので注意が必要ですが、「年長になったら、新しく入ってくる年少のお友だちに園のことをたくさん教えてあげようね」「毎毎日ピカピカのランドセルを背負って小学校に行くんだね。かっこいいね」などと、進級や進学が楽しみになるようなことばかけで、子どもの気持ちをさりげなく盛り上げていきましょう。また、進級する教室を訪問する機会をつくり、「○○組の教室には☓☓があったね」などと春から自分たちの教室になる場所を見せて、期待感を高めるなどしてもよいでしょう。

進級や進学に向けて、子どもの自信をどう育てる?

自信を引き出すことが、子どもの成長を後押しします。

年度末の保育のなかで、もうひとつ心がけたいのは、子どもが前向きな姿勢で進級や進学できるように手を引いてあげることです。

進級や進学という節目は、自分の成長に対する喜びや新しい学年の生活に対する期待から、自然と子どもの意欲も向上し、名実ともに子どもが一回り成長する大切な時期です。しかし、同時に、進級や進学を控えた年度末は、環境の変化に対する漠然とした不安を感じやすくなる時期でもあります。

まずはこの一年、あるいは園ですごした数年間の経験と育ちを子どもが共感し、それを自信に変えて春からの新しい生活を迎えられるようにサポートしていくことが大切です。そのうえで、不安定になりやすい繊細な時期であることをふまえ、丁寧に子どもとかかわりながら、進級や進学に対する不安感やプレッシャーを取り除いていきましょう。

子どもが自分自身の成長の気づくかかわりをしましょう

日々、保育のなかで子どもとふれあっていると、ふと「こんなこともできるようになったんだな」「4月はいつも泣いてばかりだったのに、しっかりしてきたな」と感じることも多いのではないでしょうか。そういった何気ない「気づき」をどんどんことばにして、子どもに伝えていきましょう。だっこしたときに「重くなったねー。前は軽々だっこできたのに」と思わず口にでるようなことも、子どもにとっては「大きくなった!」と嬉しく思えるものです。

保育者だけでなく、友だちから認められることも、子どもには大きな自信につながります。年度末に限った話ではありませんが、子どもどうしが互いのよさや頑張り、成長に気づき合えるかかわりを心がけましょう。

できることの確認作業で自信と達成感を

年度末には「もう少し・・・」と思われる課題点を引き上げる指導も大切ですが、進級や進学が目の前に迫る3月に入るころからは、この一年でできるようになったことに目を向け、子どもが進級や進学に向けて自信を固められるかかわりに、対応のしかたを変えていくようにしましょう。

そのためには、ハードルの高いことに挑戦させるよりも、あえてできることを課題として与えて、「しっかりできた」「完璧にできた」という達成感を子どもが感じられるようにすることも大切です。子どもによってできることに差はありますが、「クラスのみんなができたね。○○組さんはすごい!」という方向に子どもの気持ちを導けるとよいですね。

進級や進学の不安を取り除くかかわりと対応の配慮を

進級や進学が近づいてくると、家庭で「年中さんになったら、○○ちゃんとクラスが離れちゃう?」などと不安を口にする子や、不安や緊張がチックや頻尿、吃音、夜泣きなどの症状として現れる子もいます。「○○できないと年長さんになれないよ」などといったプレッシャーになることばは控え、行事や卒園式の練習などで慌ただしくなる時期ですが、できるだけ自由にあそべる時間や子どもがゆっくりできる時間を確保して、子どもがリラックスしてすごせるように配慮しましょう。「年中さんになったら、ちょっと遠い☓☓公園までお散歩に行けるよ。楽しみだね」などと、進級や進学が楽しみになるような話をしてもよいですね。また、「先生が幼稚園のときはすごく恥ずかしがり屋だったから、小学校に入るときは友だちができないんじゃないかとすごく不安だったの。でも、入学式の日にひとり友だちができて、すごく嬉しかったんだ」などと、保育者自信の体験談を話すこともおすすめです。目の前の先生も、子どものとき・・・ということがわかると、子どもはとても安心できるものです。

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3歳児 4歳児 5歳児 保育者 教育心理学
ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび