楽しく歌おう!保育での歌の指導法とは?
園では、子どもと一緒に歌うことがよくありますね。それは伴奏なしだったり、ピアノに合わせたり、CDに合わせたり、行事で歌ったり、クラス部屋で歌ったりさまざまですが、園の活動にかかせないものです。
歌の指導は、歌うことや覚えることが子どもにとって苦痛にならないよう、できるだけ子どもに負担の少ない方法で取り組みたいものですね。
少しずつ、1回を短い時間にして、飽きずに歌が好きになるように工夫していきましょう。
では、実際に新しい歌を子どもと一緒に歌うときに、気をつけたいポイントとは何かをご紹介します。
歌を指導するときに気をつけたいポイント
まずは保育者が歌ってみせる
正しい音程とリズムで楽しそうに歌ってきかせましょう。楽しそうに、ということが重要なポイントです。このときに、できるだけ子どもをピアノの近くに集め、顔を見ながら歌い、反応をみましょう。保育者が楽しく歌ううちに、自然と歌声に耳をすませる子どもが出てくるはずです。
ピアノで伴奏をしながら歌うのが難しいのであれば、CDを聞かせたり、アカペラで歌ってもよいでしょう。
とにかく、楽しそうに歌いましょう。
サビから歌い始める
前奏から始めると、曲が長くなることがありますね。また、曲の出だしは単調で覚えにくいこともあります。練習は曲のなかで一番盛り上がり、特徴のあるサビの部分から始めましょう。先に保育者が何度か歌い、自然と子どもが歌いだすのを待ってみるとよいでしょう。
ピアノは、メロディを強調して弾きましょう。覚えてもらおうとして、ゆっくりと弾くより、テンポよく弾く方が、歌いやすくなります。
歌えたらほめる
何度か歌うことを繰り返し、歌える子どもを少しずつ増やしていきましょう。歌えるようになったら「Aくんの歌がきこえてきたね!」と声をかけます。子どもが「できた!」と思うことが、歌うと楽しいという気持ちにつながります。
少しずつ覚えていく
フレーズごとに何度か歌い、少しずつ完成させていきます。サビが歌えるようになったら、その前後、1番ができるようになったら2番というように、段階的に歌っていきましょう。少しずつ覚えていくことは大切で、1日で覚えようとせず、子どもたちのようすをみて、疲れてきたなと思う前で切り上げます。ピアノは右手でメロディ、左手でコードでテンポをきざみましょう。
通して歌う
おおよそ歌えるようになったら、通して歌ってみます。子どもと一緒に歌い上げた達成感を喜びましょう。ただし、通して歌うと長くなるので、子どもには負担になることもあります。子どもたちが歌への興味を失わないように、反応を見ながら進め、1回に何度も通して歌うことは避けることも選択肢として考えておきましょう。歌いなおしたり、復讐したりするときは、できるだけ短いフレーズにとどめます。
音域は、子どもの育ちに合った音域を
楽譜の一番高い音と低い音が無理のない音域に含まれているかを確認しましょう。子どもの成長にしたがって、声の音域は広がっていきますが、子どもが元気に、きれいに歌えるのは「ミファソラ」だといわれているので、この音域が中心になっている局は歌いやすいです。声が出なければ、歌いやすく移調してもよいでしょう。保育者も一緒に歌うことも考慮していきましょう。
曲調は、耳に残りやすいものを
単調な歌よりは、体を動かしたくなるようなアップテンポの曲が耳に残りやすいようです。印象に残りやすい、サビやメロディに特徴のある曲を選びましょう。また、2~3歳児は、リズムが取りやすく、印象的なフレーズのある、楽しい曲を選ぶとよいでしょう。ある程度の長さがあっても、繰り返しが多ければ大丈夫です。長い曲の盛りあがえる一部分だけを歌うのもおすすめです。4~5歳児は。静かな曲調でもきれいな声で歌えるようになります。難易度の高い曲や大人っぽい歌に張り切って取り組んでいけることもあります。短調の曲に挑戦してみるのもよいでしょう。
歌詞は、難しいことばがあっても気にしない
歌詞の意味が完全に理解できなくても、楽しく歌うことができれば問題ありません。子どもたちは、喜んで歌詞を覚えます。難しいことばがあるようであれば、はっきりを発音して教え、聴覚で覚えられるようにするといよいでしょう。低年齢の子どもには「ラララ」「ルルル」など、歌詞のない部分やまねしやすいことばが入っている曲が歌いやすいようです。
長い曲は、フレーズごとに分けよう
年齢や成長に応じて、少しずつ長い歌に取り組めるようになっていきます。長い曲で難しいなと感じても、まずは1曲すべてを歌うことにとらわれず、歌いやすいサビなどの短いフレーズから始め、飽きないように工夫しながら気長に取り組んでいきましょう。子どもの学習力はすばらしく、いつのまにか歌えるようになっていることもよくありますね。また、さまざまな年齢の子どもが混合しているクラスでは、子どもたちの年齢や成長に個人差が大きく、クラス全体として歌の練習に取り組むのが難しいと思いがちですが、小さな子どもは、歌えるところを歌ったり、お兄さんやお姉さんが歌うところを聴いたりすることでも音楽に親しめます。
まずは耳から覚えさせる
子どもは耳がよいので、何度も聴くことで歌詞やメロディを自然に覚えていきます。「なじみがある歌」と思えるようになったら、もう大丈夫です。ただし、まちがって覚えさせると、あとから直すのはむずかしいので、始めから正確な音程やリズムで聴かせましょう。朝の会などで保育者が実際に聴かせるほか、自由遊びの時間にさりげなくBGMとして聴かせるのも効果的ですね。
歌のイメージを伝える
歌う雨に飽きてしまわないように、手短に済ませるのがポイントです。また、ひととおり歌えるようになったあとに再び行うと表現が深まるきっかけになります。2~3歳児には紙芝居やペープサートが効果的です。目と耳で楽しく覚えることで、歌への興味をもつことができます。歌の練習に飽きたころに歌いながら見せるのもおすすめです。また、めざす歌声をいっしょに考えるのもよいでしょう。「この曲は友達のことを歌っているから、お友達のことを考えながら優しい気持ちで歌おうね」などと、できるだけ具体的に伝えます。どんなふうに歌えばよいかを子どもたちと話し合ってもよいでしょう。
歌の楽しさを伝える
歌うことは楽しいことと、思えるような雰囲気づくりを、保育者自身が「みんなといっしょにこの歌をうたいたい!」という気持ちでリードしましょう。保育者の思いを子どもたちに話すと、子どもたちは先生が好きなものに興味を引かれるため、よいでしょう。また、もちろん保育者自身が楽しく歌をうたう姿を見せることも大切ですね。