指先トレーニングで子供の発達をうながす

1歳・2歳・3歳の知育玩具で子どもの成長を促すヒント、ねらいとは?

子どもが穴にモノをいれて楽しそうにしているのを見たことがないでしょうか。

ある時期の子どもの多くがそういった遊びを好みますね。

子どもは、何度も繰り返して穴とモノとの関係を学び、遊びを通してモノには、大小があるということに気づきます。

このような特性を生かした知育玩具が【棒さし】です。

棒さしで遊ぶときに、どういった観点をもつとよいのか、お伝えします。

知育玩具は子どもが目的を理解するまでは大人も一緒に遊んでくださいね。

子どもが目的を理解しなくても、焦らずじっくりと取り組んでいきましょう。

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棒さしで遊ぼう

抜く学習

棒さしを初めて見た子どもは、棒を口に入れたり、放り投げたりするかもしれません。大人が子どもの手を取って棒を一緒に抜く、穴に触れて一緒にさすというところから学習が始まります。

ここに、棒の先端を見る、穴を見る、見たところに手をもっていくという学習が成立します。

多くの子どもにとって、さすよりは抜くほうが簡単です。子どもは棒を抜くことによって、手の動きを方向づけることを学んでいきます。

つまり、棒は上にしか抜けないように意図されています。

はじめは棒を抜くだけですが、そこに大人が手を出すと、抜いた棒を手渡すということを学びます。

次にお皿などで棒を置く場所を指定すると、決められた、決められた場所に棒を置くという学習が成立します。

はじめは棒を抜いた後のことを考える余裕のない子どもでも、繰り返していくうちに並べて置くということ学習していきます。

これは大人が子どもに教えなくても、育つ中で自然に行われていきます。

つまり、「穴に入れる」ことや「並べる」ことは本来、人間にとって好ましいことなのかもしれません。

やがて、子どもは順番に置くことも学習していきます。棒を自発的に順番に置くことができる子どもは、端から順に「さす」学習も順調にすすみます。

さす学習

「さす」ことを好む子どもにはさす学習から始めます。しかし、最初から順番にさせるわけではありません。

子どもは、一番先に目に入った穴からランダムにさしていきます。

また、各操作で棒が「カチっ」と入ったときに、操作の終わりを実感します。

10本の棒さしをつかって、どのように順序を学習していくかを観察すると、最初に真ん中からさす子どもは少ないでしょう。

まずは端の棒に注目してさしていくことが多いようです。

それでは、端はなぜわかるのでしょう?それは触った感じが、端はよくわかるからです。

はめ板で遊ぼう

はめ板とは、触覚と運動の世界から、平面の世界に移行する途中の知育玩具です。

棒さしと同じで、様々な種類のものが開発されています。
その目的は次の3点です。

1.形や色の区別を理解する。

2.形の認知を絵の認知へつなげる。

3.触覚や視覚で知覚されたものを言葉につなげる。

これら3点に注意しつつ、子どもと知育玩具で遊んでみましょう。

ところで、子どもの「目が見える」ことと、「見たものが何かわかる」ことは全く別の機能であることをご存じでしょうか?

「見たものが何かわかる」ことを【視知覚】といいますが、視近くは目が見えることに加え、視線を動かし、手を動かして、自発的に目の前の世界とやりとりすること、つまり、子どもの能動的な探索活動によtって育っていくといわれています。

目の眼球運動の育ちは、5歳以上になってから安定してくるといわれているので、じっくり取り組んでいきたいですね。

このように、視知覚の機能は幼児の段階ではまだ不安定で、見ただけで形がわかるというわけにはいかないのです。

はめ板は、視知覚の育ちを意図的に促すことを目的として、特に3歳児の子どもを対象として、遊びによく取り入れられています。

「見てわかる」過程には、まず「これは何だろう」とぼんやりと見て「○○かな?」と近づき、「○○ではない、△△だ」と知覚を修正する働きがあります。この「○○かな」のところにそれまでのモノを見たり、触ったりした経験が関係し、「○○ではない」のところには区別があり、「△△だ」のところには再び、以前の経験と照らして解釈する働きがあります。

丸と三角と四角の三種の板はめの課題がありますが、1歳前半でおよそ2割、1歳後半でおよそ8割の子どもが課題を達成できるといわれています。

つまり、1歳後半くらいからなんとなくではありますが、形の違いが分かるようになっているのですね。

この板はめの課題を達成するためには、どのような力が必要なのか、考えていきましょう。

玉入れで遊ぼう

玉入れは、「一緒に遊ぶ大人の指さしに応じて見る、目的の場所を見つける、自分の手がそこにいくまで見続ける」などの目の活動、「一緒に遊ぶ大人の指さしに応じて手を伸ばす、触る、つかむ、目的の場所に手をもっていく、放す」などの手の活動があります。

穴の位置や方向を目でとらえるためには、位置や方向を判断するための基準がなければなりません。

そのためには姿勢が安定している必要があることに注意が必要です。

穴の位置まで手をもっていくためにも、姿勢を整えてバランスを取ることが必要です。

さらに「玉を入れる場所を覚えている、見つけた場所に自分の手がいくまでその場所を覚えている、玉から目が離れても玉を持っていることを覚えている」など記憶の要素も関係しています。

そして、実際に子どもが行動を起こすためには、一緒に遊ぶ大人の意図を理解してそれに応じようとするなど、対人関係の要素も関わってきます。

このように、単純な活動でも、それを達成するためには、感覚、運動、視覚、姿勢、記憶、それらを活発にする動機づけとしての対人関係など、様々な要素が総合的に働いていることがわかるかと思います。

玉入れは、穴を見つけ、玉(モノ)を入れるという課題ですが、その課題に応じる前に、玉の触り心地を手で確かめるという経験も必要です。ちょうど知育玩具の玉は、色が鮮やかでつやがあり、子どもが触ったときに心地よいと感じるように作られていますので、このことに着目するのもよいでしょう。

また、玉の大きさも重要なことで、子どもの手のひらにピタッとおさまるくらいの大きさが、扱いやすさ、手の出しやすさという観点からもっともよいと考えられています。

玉入れは、穴を見つけ、モノを落とす課題ですが、このときに既に歩行ができる子どもは、立ち位置から穴を見つけて、自らそこに近づき手を出します。

これは自分のからだとモノの位置との関係をつくったことになります。

未歩行の子どもや、バランスをとって歩こうとすると見たモノから視線が外れてしまう子どもの場合は、視線が穴から外れたときに記憶が途切れてしまいます。その場合は、座らせて上半身を安定させた方が確実な学習ができるでしょう。

玉入れは、歩行が困難な子どもにもよい知育玩具といえます。

歩行が困難な子どもは、座位の姿勢から学習を始めることが多く、座位の場合は、指定された場所から目を離さずに手を持っていくという上肢の運動により、穴の位置と自分のからだとの関係を学んでいきますが、玉入れを取り入れることにより、「手が玉に触れる」「玉が落ちる」などの触覚や運動がフィードバックされ、操作と結果の因果関係をからだで感じ取ることができます。

筒抜きで遊ぼう

運動のための出発点が定まったら、次に思った方向に思った距離だけ手を動かす学習をします。

しかし、その前に「運動には方向がある」ことを学ぶ必要があります。

特定の位置に目をとらえて、そこに手をもっていうくことに成功すれば、そこから「方向」への’気づきをうながすことができます。

そこで、「手の運動には方向がある」ということを気づかせようとして、開発された知育玩具が、筒抜きです。

終点を定めて、引き抜くことを課題としている知育玩具です。

生後5~6か月の子どもを見ると、手足をバタバタと動かし、とても元気がよいですね。

しかし、自分のからだがどのように動いているのかを意識することは難しいようです。

そこで、大人が子どもを支えて座位をとらせると、子どもは見たものに手を伸ばすという活動を起こします。

最初は触り、叩き、しばらくすると忘れてしまうこともありますが、それでもやがて、つかんで口にもっていくようになります。

これは、自分のからだを基準として、「口に向かって」モノを引き寄せたのであり、手の運動に「方向が出てきた」ことを示しています。

さらに日がたち、9か月をすぎた頃、今度はモノを意図的に払い落として楽しむ時期がやってきます。これは常に自分のからだの中心から外側に向かう手の動きにより実行されます。

「引き寄せる」(外から内へ)方向に加え、「払いのける」(内から外へ)方向も学習されていくのです。

知育玩具で遊んでいく中でも、最初は離れた側から手前(子ども自身のからだ)に向かって引き寄せる設定がうまくいきます。

次にからだの中心に近いところから外側に向かって滑らせて落とし、音のフィードバックを楽しみながら徐々に終点を決め、方向を指示して手をもっていく学習に導いていきます。

モノを払い、滑らせ、落としたときに子どもが喜ぶのは、運動と音で「終わり」が分かり、「終わり」が自分の予想通りとなるからです。

ここでは、モノに働きかけた結果、落ちて音がしたり、見えなくなったりするという、子どもとモノとの単純な関係を学びます。

そして、活動を繰り返して運動の始めと終わりを学び、働きかけとその結果の関係に対する気づきを確実にしていくのです。

モノを払い落としていくことを楽しんでいた子どもは、生後10か月くらいになると、落とした先をのぞきこむようになります。

これは「動作で終わりを知る」段階から、視覚で結果を確認する段階になったということです。「見えないところにもモノがある」ことに気づきはじめた段階ともいえます。

玉ひもで遊ぼう

1歳半から3歳にかけて、触って分かる段階から、見て分かる段階へ、そして、言葉の使用へと急速に子どもは育っていきます。

玉ひもは、数の学習ができる知育玩具です。3歳に満たない子どもや、育ちがゆっくりしている子どもにも楽しく遊べるものといえるでしょう。

玉ひもは、その名のとおり、ひもに玉がつらなっているという単純なものですが、玉ひもの魅力とはいったい、どのようなものでしょうか?

これまで様々な知育玩具のご紹介をしてきましたが、このサイトをご覧になられているみなさんはどのようにお考えになられるでしょう?

例えば・・・、

玉が色鮮やかで、触った感じが心地よさそうで手のひらにおさまってつかみやすい。

ひもが操作の方向性を示す。

動きの終点で玉がカチッと止まるので、達成がわかりやすい。

玉がひもでつながっているので、バラバラにならず、操作に失敗がない

・・・などが挙げられるかと思います。

玉ひものような知育玩具は、モノを媒介としてヒトとやりとりをする、異種感覚を統合する、始めと終わりの理解、因果関係の理解、認知空間・操作空間の拡大、手の運動に方向があることへの理解など、「からだで学ぶ」要素が集まったものだといえるでしょう。

数の理解というのは、難しい課題ではありますが、子どもが玉を動かすたびに、一緒に遊んでいる大人が「いーち、にー」と声掛けをすることで、手の動きをゆっくりと調整するようになっていきます。

これは、子どもが、ヒトに合わせて動きを調整するという、社会性の観点からも重要なことなのです。

また、玉ひもと似たような知育玩具として、玉さしというものがあります。

これは玉ひもと基本的な意図は同じですが、ひとつひとつの玉が完全に分離していることが、玉ひもとは異なります。

玉は置いたところから転がっていってしまい、ひとつひとつが離れていってしまいます。棒にさすときも、ひとつひとつの玉が独立しているということを子どもに明確に伝える知育玩具です。

また、玉さしのもうひとつの特徴として、棒の長さが子どもに数の答えを教えてくれることも挙げられます。つまり、玉が3つまでしかさすことのできない棒には、それ以上の玉はささらないのです。

3つの玉がささった棒を見せて、「3こもってきてね」と数を教えていくことも、玉さしは適しているといえるでしょう。

そのうち、棒にささなくても玉の集合から3つの玉を取り出すことができるようになっていくでしょう。

タイルの数列板で遊ぼう

これまでの知育玩具では、触覚や視覚といった感覚をいかして学んでいくというものでしたが、聴覚で運動を調整する、という発展的な内容について、タイルの数列板を用いて説明していきたいと思います。

タイルの数列板は、はめ板と同じく、平面を取り扱った知育玩具です。

タイルはひとつひとつが分離していているものの、置いたときには平面となるので、つながります。

タイルの数列板もさまざまな種類のものが開発されていますが、子どもにタイルの数を数えさせてみると、1、2、・・・という大人の声掛けと指の動きは一致していても、その間をとばしてしまうことがあります。

特にタイルを入れる手の運動を止める手がかりが、数を唱える自分の内面の声のみになる、「止め」のない数列板で遊んでいるときに、そのことは起こりやすいようです。

これまでにご紹介した、玉入れのように、「終わり」をからだで学び、「終わり」を触覚で学んでいたときとは、知育玩具の意図するものが異なるからです。

しかし、玉さしと同じ要領で、タイルの数列板も、工夫をすることで正解を子どもに教えてくれるようになります。

タイルの数列板に取り組み始めるときは、数字の数だけ入れたら、それ以上は入らないものを選択するとよいでしょう。

「終わり」の手がかりがあるものの方が、「カチッ」とした感触がある分、手の運動を止める触覚の手がかりを得やすいからです。

タイルを入れていく子どものそばで、大人が1,2・・・と数えて、5になったから終わりにしようといっても、子どもは手の運動を止めることができません。強くいわれてやめたとしても、子どもは「指示に応じてやめる」以外のことは学んでいないのです。

扱うモノ(この場合はタイル)がなくなるまで、手の運動を止めることができないことは、目に見えない音声のイメージを扱うことは難しく、触覚や視覚で判断しているからであり、対象を注視して手を動かすだけで精一杯だからだと思われます。

音への集中力を保つためには、からだで数を刻む必要があるのだと、このタイルの数列板が教えてくれます。

このことから、日常生活の中で、からだ全体で数唱に合わせる(1,2の掛け声に合わせてジャンプをするなど)が、数の学習の基礎として重要であることがわかります。

さて、先に書きましたが、タイルの数列板もさまざまな種類のものがありますので、終わりの手がかりのタイプのものも、子どもの育ち具合によってはすすめてみましょう。

 

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ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび