発達障害かも?運動が苦手な原因を考えて支援しましょう。
発達障害には、走ることや行進が苦手、くつのひもが結べないなど、運動や日常の動作面での不器用さが見られるものもあります。
保育者ができる具体的な支援を考えましょう。
ストレスやいじめの原因になりやすい不器用さ
歩き方がぎこちない、更新するときに右足と左足が同時に出るなど、日常の動作面での不器用さが目立つ子どもは、「発達性協調運動障害」の可能性が考えられます。
また、運動や着替え、はさみやはしを使うのが、同年齢の子どもとくらべて特に苦手な場合も同様です。
障害といっても、自分の体の筋肉を上手に使えず、体のバランスが悪いために起こるもので、自信をなくさないようサポートすればあまり重大な問題ではありません。
また、ADHDやPDDなどを併発する場合もあります。
発達性協調運動障害のある子どもは、苦手意識を持って自信をなくしてしまったり、できないことがストレスとなって意欲を損ないやすいものです。
また、日常動作の不器用さは、子ども本人だけでなく周囲からもわかりやすいため、ほかの子どもたちにからかわれたり、避けられたりすることもあります。
保育者は一人ひとりの発達を理解したうえで、適切な支援を行うことが大切です。
サポートのポイントは、達成感を体験させること
保育者は、ほかの子どもと同じことを強要するのではなく、その子どもが頑張ればできる課題を与え、その子なりの努力を評価することが大切です。
子どもは、頑張ったところやできたところを大いにほめてもらい、達成感を体験することでセルフエスティーム(自尊感情)が高まり、苦手なことにも自信をもってチャレンジできるようになります。
また、幼いころの失敗体験は心に残るものなので、難しい作業をするときは丁寧に教えたり、さりげなく援助するなどの配慮も大切です。
対応のヒント
体全体を使う大きな動作から手先をつかう細かい動きまで、それぞれの場合で具体的な対応をみていきましょう。
走り方がぎこちない(粗大運動)
「走る」「跳ぶ」「投げる」といった全身を使う大きな運動を「粗大運動」といいます。
粗大運動は、さまざまな活動をするうえでのベースとなる大切な動きなので、保育者は子どもの状態をよくみて、無理なく取り組めるような運動を取り入れましょう。
また、明らかに順位をつけるようなことはせず(運動会などでは、順位をつけることに問題ありません)、みんなで楽しめる内容を工夫するとよいでしょう。
みんなで園庭を走る場合、「○分たったらおしまい」というような設定にすると、みんなで一斉にスタートしても、順位をつけることなく楽しめます。
走ったあとは、「気持ちいいね」「たくさん走ったね」など、走ることの楽しさを感じられるような言葉かけがいいですね。
くつひも結び、ボタンかけなどが苦手(微細運動)
指先に力を入れたり、ひねったりする細かい動きを「微細運動」といいます。
年齢に対して発達段階的な面から極端に不器用な子どもには、より丁寧な対応が必要です。
できたことをほめるのはもちろんですが、やろうとしている努力をほめたり、またやろうとしている気持ちになれるように声をかけたり課題を考えたりしましょう。
くつのひもが結べない場合、まずはひものないくつからスタートしましょう。
太いひもから、細いひもへと段階をふみながら結び方を教えましょう。
くつひも結びの手順を教える場合、実際にやって見せながら「ここをバッテンにしてバッテンの下になっているひもをまわして・・・」などと、子どもの実際の年齢よりも年下の子どもに教えるように、よりわかりやすく伝えます。
行進ができない(左右がわからない)
行進をしようとすると。右手と右足が一緒にでたり、「右手をあげて」と言ってもどちらかわからなかったりすることがあります。
左右がわからない子どもには、「右、左」と言いながら、左右の手を交互にグーパーすると効果的です。
この運動は、左脳と右脳を交互に使うので、脳の活性化にもなります。
子どもの発達のレベルはさまざまなので、年齢ではなく、発達の段階に合わせた支援が大切です。
どちらかの手足にリボンやシールなどの「しるし」をつけて、「リボン」がついている右(左)手を動かしてなどと、具体的に説明しましょう。
「右手をあげて」ではなく、「リボンがついている右手をあげて」と言うと、わかりやすくなります。