共同注意とは?集団行動とは?意義を心理学で考える
1歳をすぎて、自分を取り巻く、周りの世界に興味を持つようになると、発見や驚きを他の人と分かち合いたいという気持ちが芽生えてきます。コミュニケーションの仲立ちとして、共同注意や指さしを通し、心のふれあいを育んでいきましょう。
共同注意とは?
保育者が空を見上げると、子どもも保育者と同じ方向に視線を向けて、にっこりと笑顔。「自分も、同じものを見たよ」という意思表示です。
子どもが関心をもった対象を保育者も見つめると、子どもと保育者でその対象を共有できますね。共同注意は視線のコミュニケーションでもあります。いっしょに見つめることで、心を通い合わせる大家を繰り返し、信頼関係を深めていきましょう。
この共同注意は、生後4~5か月の乳児が自分の周りの物に関心を示すようになると、よくみられるものです。窓の外をじっと見つめている子どもをみて、「何が見えたの?」と保育者も同じ方向を見ます。子どもが何に興味をもったかを知り、子どもが興味や関心をもった出来事をいっしょに注視することで、心のつながりをもち、子どももそれを嬉しく感じます。
保育者は、日ごろから一人ひとりの乳児が、どんな物に注意を向けているのかを知るために、まず乳児が関心をもってジッとみつめている物を見てください。
子犬を見つめている乳児には「ワンワンの赤ちゃんがいたね」と見ている物に対して保育者が言葉をかける添えることで、乳児と保育者の双方の心に通い合わせが生まれ、三項関係が生まれます。
言葉で言えなくても、この人には自分の思っていることがちゃんと通じるとい伝わる喜びを重ねながら、乳児は自分が発見したこと、驚いたことなどさまざまな感動を積極的に知らせたいという思いを高めていきます。
共同注意を経て、1歳ごろになると、指さしが出てくるようになりますが、指さしがでるころには、子どもだけでの集団活動もみられるようになってきます。
集団活動とは?
1歳をすぎると、個人から集団へと活動範囲が広がっていき、友だちとの関わりやトラブルも増えていきます。子どもたちが集団生活になじんでいけるよう、保育者はどのような対応を心がけたらよいか、考えてみましょう。
友だちとの関わりから広がる集団生活
これまでの、保育者と子どもの一対一での関わりから、友だちを意識しはじめることで、自分だけではなく周りにおm人がいるということに気づきます。
友だちとの関わりにより、個人から集団へと生活や活動の範囲が広がっていきますが、いっぽうで友だちを叩いてしまうなどのトラブルも増えていきます。そのつど「叩かれたら痛いんだよ、ごめんねしようね」など、保育者が相手の気持ちを伝えることで、友だちを思いやる気持ちを育んでいきましょう。
心を育む集団生活
個人から集団へ
1歳をすぎて午前中に寝る子がいなくなると、散歩にでかけたり、昼食をいっしょに食べたりする足並みがそろいはじめ、少しずつ集団生活ができるようになります。
それでも、くつを履く、うがいや手洗いをするなどは、一斉に集まって行うのは難しいもの。そんなときは5人程度の少人数のグループに分けて時間差をつけて行い、保育者の目が一人ひとりにしっかり行き届くようにしましょう。
友だちへの関心の芽生え
1歳になると、友だちを意識しはじめ、気になる子や好きな子ができるようになります。初めはその子の近くにいるだけで満足だったのが、そのうち「好きな子があそんでいるおもちゃであそびたい」などと具体的な意識が芽生えてきます。そうなると、おもちゃの取り合いなどのトラブルが増えていきますが、保育者は「貸してって聞いてみようか」と声をかけたり、別のおもちゃを出して新しいものに目を向けさせたりと、お互いの気持ちを尊重しながらの対応を心がけましょう。
こんな子がいたら、どうする?集団での活動での悩み
●絵本の読み聞かせの時間など、集団で活動するときに、その場でじっとしているのが苦手なAくん。大声をだして走り出したり、他の子へのちょっかいを出したりしてしまう・・・という悩み
いっしょに活動をさせようと何度も注意すると、ますますAくんはその場にいたくなくなり、周りの子も気を取られてしまいます。無理はさせず、いったんその場を離れてみるのも手でしょう。「水槽の中の金魚さんを見に行こうか」などと、その子の好きなことに誘ってさりげなくその場から退出させ、読み聞かせが終わったころに部屋に戻ってみましょう。子どもは『自分だけが特別にしてもらえた』と気持ちが満足し、落ち着くことができます。
そして、これを何度か繰り返すうちに、しだいに集団での活動になじんでいき、落ちついて活動に参加できるようになります。子どもに気分転換をさせて、気持ちを切り替えるよう促すことが大切です。
●みんなで活動しようとすると、突然Bちゃんが泣き出してしまいます。Bちゃんはいったん泣き出すと、みんなと同じ活動に取り組めなくなってしまいます・・・という悩み
Bちゃんが泣いているのには、何か理由があるはずなので、「何が嫌だったの?」「Bちゃんはどうしたかったの」と、子どもの気持ちを聞き出せるような言葉かけをしましょう。
理由がわかったら、「そう、じゃあ○○してからやろうね。○○がよかったんだもんね」と、その子の気持ちを受け止めることが大切です。
子どもは、自分の気持ちを保育者にわかってもらえたと感じると満足し、すんなりとみんなの輪の中に入っていけるようになります。