保育記録のねらいとは?。保育記録の取り方と書き方。
保育記録は、子どもの育ちの記録であり、関わり方を模索するための資料です
すべての子どものちょっとしたようすを、保育者ひとりの頭に記憶しておくことはできません。子どもたちとの一日一日が細切れになってしまっては、子どもの育ちを長い目で継続的に見守っていくことは難しいでしょう。
そこで、必要になってくるのが保育記録です。日々のようすやエピソードを記録し、読み返すことで、子どもがどういう育ちをしているのかがだんだん見えてきます。その子とどう関わればよいのか、どういう方向に導いてあげればよいのかを考えるときのよりどころになるでしょう。
そして、1年を通しての子どもの成長をまとめた記録を次の学年へと引き継ぎ、さらには小学校へと引き継ぐことで、子どもの育ちを途切れさせることなく、スムーズな成長を助けるのに役立ちます。
保育記録を書くコツ
保育記録は、一人ひとりのありのままの姿を記すのがもっtも重要です。しかし、何を書けばよいか迷ったときは、ある視点(テーマ)に立って子どもの育ちを見ていくと、ポイントがしぼれて書きやすくなります。また、この視点はむやみに変えるのではなく、ある程度続けて記録していくことが大切です。
記録を書くときの心構え
子どもをよく観察しよう
子どもを漠然と見ていては、実のある保育記録は書けません。特に手がかからない「いい子」ほどエピソードが記憶に残らず、書くことが浮かばなくなってしまうので要注意です。
具体的に書く
行動のきっかけやまわりのようす、子どもの気持ちなどを具体的に書きます。後で読み返したときに、子どもとの関わり方を考えるうえで参考になります。
その子なりの成長の広がりを見る
集団のなかで比較してどうかということではなく、その子個人の興味の広がりや友だちとの関係の深まりなど、その子なりの成長を見ていきましょう。
例えば、こんな視点があるといいですね
その子なりの成長をしているか
自分の思いを伝えられているか、挑戦する気持ちが育っているか、子ども一人ひとりが、その子なりのペースで成長しているかどうかをみる視点
クラスのなかで、どのくらいのところにいるか
みんなと一緒に行動できるか、先生の話を集中して聞けるかというような、その年齢なりの成長の目安において、同じ学年の子どもたちのなかで、その子はどんなようすかを見る視点
クラスの指導計画を基準にどのくらい取り組めているか
クラスの子どもたちのようすやその年齢の発達段階に沿って設定したあそびや生活習慣(指導計画)を基準に、どのくらいできるようになったかという視点
幼稚園同様に、保育園でも小学校への資料を作成します。
最終学年の学年末には、小学校への引き継ぎのための記録となる「児童保育要録」(保育園)、「幼児指導要録」(幼稚園)を書きます。これは、小学校の先生がその子との関わり方を考えるときのヒントにし、小学校に入っても子どもの育ちが途切れないようにするためのものです。決して成績表にならないよう、一年間の子どものようすや育ちを書いていきましょう。
育ちの全体像をとらえる
子どもは入園当初から卒園までに、さまざまな面で目をみはる成長を遂げます。記載する際は、その子の成長を多方面から見つめましょう。また、その子の成長に関わった保育者の意見を聞くのも、偏った記載にならない方法です。
アレルギーなど健康状態について
健康上、特に配慮を要するもの(アレルギー、アトピー、熱性けいれん等)をもっている場合など、留意する必要がある事柄について記載します。特に問題がない場合は、「良好」と書き入れることで健康状態を把握できます。
基本的生活習慣が身についているか
快適に生活する力や、健康で安全にすごせて健康増進にも積極的に取り組めるなど、基本的生活習慣がどの程度確立しているかを記載します。情緒の安定については、特に問題を抱えていなければ「安定している」と記入してよいでしょう。
5領域のねらいに沿って特徴的な事柄をわかりやすく記載する
保育者の発達援助をふまえたうえで、主に最終年度における子どもの心情(目にみえない心の動き)、意欲、態度等について記載します。要録の教育項目には、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)のねらいが載せてあります。5領域それぞれに心情、意欲、態度が存在しますが、視点をそこに置きながら特徴的なところをわかりやすく記入します。あまりに細かなことだけを記入すると子どもの発達の全体像が見えにくくなるので注意します。就学後にぜひ援助を必要とするものは、否定的な書き方を避けた文言を使うようにします。