1歳児や2歳児の着替えの練習とは
衣服の着脱の習慣は、日々の積み重ねで培われていくものです。一人ひとりに合った適切な声かけと援助で、着脱の自立を促していきましょう。
着脱に自立は、「脱ぐ」ことから
園では0歳のころから、着替えのたびに「お着替えしようね」「腕を上げてみようか」などと声をかけ、衣服の着脱の習慣を意識づけていますね。子どもが1歳になって自分で歩けるようになったら、次はひとりで着替えができるように、保育者は援助をしましょう。また、何枚も着こまないですむ季節は、着脱の自立を促しやすいタイミングです。
くつ下がイヤだから脱ぐ、など、子どもはまず「脱ぐ」ことから覚えます。たとえ、イヤだから脱いだとしても、「じょうずに脱げたね」と自分で脱げたことをほめてあげましょう。
長めのくつ下はある程度下ろして脱ぎやすくしておくなど、「自分でできた」という達成感を味わう経験を積み重ねていくことが、着脱の自立へとつながっていきます。
着替えの自立のポイント
保育者の援助とくふう
着脱の自立へスタートは個人差があるため、保育者はふだんの保育のなかで、歩行が安定してきた、ボタンに興味を持ち始めたなどを目安に、それぞれの子どもの変化をキャッチして移行しはじめることが大切です。
また、最初からスムーズに着替えられるわけではなく、何度も繰り返し挑戦することで徐々にできるようになっていくため、保育者は焦らず、ゆったりとかまえて取り組みましょう。
着脱しやすいように、洋服の置き方や着替える場所を工夫したり、あと一息でできるように途中まで準備するなど、子どもが達成感を味わえるような援助や声かけを心がけます。
午睡前の眠いときに無理にやらせるのではなく、きげんがよくて落ち着いているタイミングを見て促しましょう。
家庭での衣服の準備
子どもの服は、デザイン性ではなく、機能性を重視します。子どもの体格や発達に合ったもので、ある程度余裕のあるものを選ぶように伝えましょう。ウエストはゴムになっているものがよいでしょう。
次のようなものは避けましょう。着脱しにくいです。
●硬くてごわごわしているジーンズ
●伸縮性が強いもの(手足がなかなかだせないため)
●袖や首回りが狭いもの(頭がなかなか抜け出せない)
●つなぎ(上下別々のほうが、着替えやすい)
ボタンつきの服に移行したいときなどは、家庭との連携が大切です。購入するように促すのではなく、「ボタンに興味を持ち始めたので、来月ごろからボタンつきのパジャマにしてみましょうか」「ボタンが大きめのものだと練習しやすいですよ」などと、子どもの成長のためにと提案してみましょう。また、移行したい1か月前くらいから、余裕をもって話をすることも大切です。
発達に合わせた着替えの援助とは
衣服の着脱の習慣は、日々の積み重ねで培われていくものです。一人ひとりに合った適切な声かけと援助で、着脱の自立を促していきましょう。
毎日行う着替えは、子どもの意欲を高め、楽しんで取り組めるとよいですね。発達に合わせた援助の例をご紹介します。
上着について
初めは、保育者が上着の首回りを子どもの頭にかぶせ、頭を出してあげます。すると、子どもによっては、腕を通そうとするので、「腕を入れてくれるのね、ありがとう」などとほめましょう。腕が首回りから出たりすることもありますが、「じょうずね」とほめながら、さりげなく正しい位置に導きます。子どもが腕を入れられるようになったら、次の段階として、子どもに首を入れさせてみます。前後はまだわからなくてもよいので、とにかく自分でかぶらせてみましょう。首が入ったら、「顔が出たね」とほめ、さりげなく前後を確認して直します。そのうち、服の前後を気にするようになり、「こっち?」と保育者に声をかけながら着替えしはじめます。
保育者は、子どもに「りんごのマークがついているほうが前ね」などと、前後がわかりやすいようにアドバイスをしてあげます。
ズボンについて
まず、オムツやパンツをはくときに、衛生面に気を付けます。床におしりを直接つけてはくなど、他の子とデリケートな部分が触れる可能性があるようなことは避けましょう。必ず保育者の方につかまって立ってはくようにします。
ズボンは初めは平らなところに広げ、はくときと同じ形にして置いてあげましょう。どこに足を入れたらよいかわかりやすくなるので、着替えがしやすくなります。最初は片側に両足を入れてしまうこともありますが、「こっちだったね」とそのつど直してあげます。座ってはけるようになったら、ソフトベンチを用意して、その上ではくよう促します。体が硬い子は、ひざを曲げてズボンをはくのが大変なので、初めからベンチを使ってもよいでしょう。
ボタンかけ
ボタンに興味を持ち始めたら、まずはボタンでつなぐおもちゃをあそびのなかに取り入れてみましょう。実際にボタンを目で見て触れることで、自然と構造を理解します。いろいろな種類や大きさのボタンを用意すると、子どもの興味が広がり楽しくボタンかけができます。
ボタンかけは大きめのボタンから挑戦するとよいでしょう。事前に保護者にそのことを伝え、衣服を準備しておいてもらいます。最初はボタンホールにボタンを入れることが難しいので、保育者がアナに半分だけボタンを入れ、子どもはそれを引っ張ります。引っ張るだけで「できた!」という達成感が味わえ、次への意欲へとつながります。
せっかくボタンをかけたのに、かけ間違えてやり直しとなってしまうことを避けるため、子どもが慣れるまでは保育者がいちばん上のボタンだけとめてあげるのもポイントです。