発達障害|広汎性発達障害?集団行動が苦手な子どもへの対応とは

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発達障害|広汎性発達障害?集団行動が苦手な子どもへの対応とは

発達障害のある子どもは、その障害の特性ゆえに集団生活を送るうえでの困難さを抱えていることが少なくありません。「指示が伝わりにくい子」「じっと座っていられなかったり、突然いなくなったりする子」「活動の切り替えが苦手な子」について、保育者の関わり方を考えます。

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指示が伝わりにくい子について

ほかのことに気がそれていて、話を聞いていない・・・
自分に指示が出ていることがわからない・・・
指示の内容を理解できていない・・・
あそびに夢中で、話を聞く態勢に切り替えられない・・・

このような子は、集中力の欠如、言葉の理解の遅れなどが支持の通りにくさにつながっていると考えられます。

例えば、クラス全員に「これから粘土あそびをするので、自分のロッカーからお道具箱を持ってきましょう」と指示を出しても、何をするのかわからず座ったまま動かない、というようなことが発達障害のある子のなかにはみられます。

幼児期ではまだ、出された指示を正しく理解し、指示どおりに動くことができない子がいても珍しくありませんが、発達障害のある子の場合、その特性ゆえにこの傾向が顕著に見られることが少なくありません。

ADHD(注意欠陥多動性障害)のある子は、周囲の刺激に対して気が散りやすく、自閉症傾向のある子は、言葉で出された指示を理解することが苦手といった特性があります。このような特性が、指示を出しても伝わりにくいという困難さの原因になっています。

関わりのポイント

遊びやおしゃべりに夢中で、保育者の声かけに意識を向けられない子には、遠くから声をかけてもあまり効果がありません。クラス全体に話したあと、その子の近くに行って「○○くん、△△してね」と言うと伝わりやすくなります。また、クラス全体に対して「みんな、あつまって」と声をかけても、それが自分への指示だと気づけない子もいます。「みんな」ではなく、「○○くん」と名前で個別に呼びかけてみましょう。

また、耳から入ってくる言葉を情報として処理する力が乏しいため、指示そのものの意味がわからないこともあります。そのため、「ボールを片付けたら、手を洗って教室に入ってね」などと、一度にたくさんの指示を出すと混乱してしまいます。片付けも、どこにしまうのかを具体的に示すとよいでしょう。さらに、言葉だけでなく絵カードなどを使って視覚的に指示を出せば、より理解しやすくなります。

このように、指示が伝わりにくい原因は子どもによってさまざまです。保育者は、少しずつ一人ひとりの特性を理解し、その子に伝わりやすい方法を考えていきましょう。

指示が伝わりにくいのは、ふざけているわけでもなく、保育者を無視しているのでもありません。「何度いったらわかるの?」「話を聞きなさい」などと責めるのではなく、子どもが声かけに気づきやすい配慮と、話を聞きやすい環境づくりをすることが大切です。具体例は次のとおりです。

近くに行って個別に指示を出す

近くに行って名前を呼んだり、肩に手をあてたりしながら、その子にわかりやすい方法で伝えましょう。

絵や実物を見せながら指示を出す

言葉での指示を理解しにくい子には、絵カードや実物、写真などを見せて伝える方法も試してみましょう。

指示はわかりやすく簡潔に

子どもがわかりやすい言葉と、要点をしぼった簡潔な表現で伝えましょう。

話だけでなく、めりはりのある保育を

長時間、話を聞くだけでは子どもの集中力が続きません。話の間に手遊びをはさむなど、子どもが退屈しない流れを工夫することも大切です。

発達障害のある子どもは、その障害の特性ゆえに集団生活を送るうえでの困難さを抱えていることが少なくありません。「指示が伝わりにくい子」「じっと座っていられなかったり、突然いなくなったりする子」「活動の切り替えが苦手な子」について、保育者の関わり方を考えます。

じっと座っていられなかったり、突然いなくなったりする子

このような子は、気になるものがあったり、その場にいたくないという理由が考えられます。

一斉活動の途中で突然席を離れて自分の好きなことをはじめたり、教室を出て行ってしまう子がいますね。

ADHDの子は集中力が乏しく、衝動性も強いため、気になるものがあるとそちらに気が向いてしまいます。このため、「今はみんなといっしょの活動をしなければならない」という自己コントロールができなくなり、興味が向いたことをやりはじめてしまいます。

また、その場にいることやその活動をすることがいやで、逃げ出すケースもあります。一定の刺激に対する感覚過敏がある子の場合は、特定の音やにおいがいやだったり、ということが原因になる場合もあります。

自分の気持ちをコントロールしたり、思いを言葉で伝えたりすることが苦手なため、やりたいことができなかった、使いたいおもちゃであそべなかった、といった理由で突然飛び出していくこともあります。

関わりのポイントとして、その子がすごしやすい環境を整える、という視点からの配慮を

集中力が乏しい子には、気が散りにくい環境を用意することが大切です。子どもの興味を引くようなおもちゃや飾りを目につくところに置かない、カーテンやドアをしめて外の音や人の往来に気を取られにくくする、といった配慮をします。

音やにおいなど、いやなことから逃げ出そうとしている場合、取り除ける刺激は取り除きます。取り除くことができない場合は、無理に参加させず「見ているだけでも立派に参加している」と捉えて、できる範囲の参加を認めましょう。

このような行動はわがままと捉えられがちですが、障害の特性から「じっとしていられない」「飛び出す」といった衝動につながっていることを理解し、厳しくしからないようにしましょう。その子が落ち着いたら、「○○がいやだったの?がまんできなかったんだね」「○○であそびたかったの?」とその子の気持ちを言葉にしてみましょう。

そのあと、「今度は○○してみようね」などと、どうしたらよいかを伝えます。

時間や回数を決めて、やりたいことを認める

一方的に「座りなさい」「戻ってきなさい」などと言わずに、「5分だけ好きなことをしたら、座ろう」と約束し、守れたら「ちゃんと座れたね」とほめましょう。

保育者から注意がそれない環境を整える

気が散るものを目のつく場所に置かないなど、保育者に集中しやすい環境をつくりましょう。

活動の切り替えが苦手な子

障害特有のこだわりや、活動の見通しが持てない不安感が原因です。

発達障害のある子のなかには、あそび時間が終わってほかの子が教室に戻っても、いつまでもあそびをやめず、読んでも言うことを聞かないなど、活動の切り替えがスムーズにできない子がいます。

これは、障害の特性からくるこだわりであったり、一度あそびや活動に夢中になると、そこに集中した意識や関心をほかに移すことが難しくなってしまったりするからだと考えられます。

また、その場の状況を把握し、今もとめられていることを理解することが苦手なことも、活動を切り替えにくい原因となるでしょう。

さらに、次の活動で何をするのかわからないという不安があったり、やりたくない活動に切り替えないといけなかったりすると、今の活動を終わらせるのはますます難しくなります。

予告することで見通しを持たせ、自分から切り替えができるように促しましょう

夢中になっている遊びや活動を無理にやめさせようとすると、興奮して大声を出す、暴れるなどパニックに陥ることがあります。パニックは本人にとってもつらい状況なので、無理強いすることはやめましょう。

「チャイムが鳴ったら教室に戻って、折り紙をします」と、活動の流れを事前に伝えたり、「あと2回ボールを投げたら終わり」と終わりのタイミングを予告したりすると、切り替えがスムーズにできやすくなります。

不安感が強い子には、「次は教室で折り紙をするよ」と具体的な活動を示したり、「~をやったら、○○くんが好きな~をしよう」と楽しみにできる見通しが持てるような言葉かけをしたりするとよいでしょう。

どうしても次の活動をやりたくないようすが見られるときは、「どうしても折り紙がしたくないなら、先生の隣で○○くんが好きな電車の本を読んでいていいよ」を代案を提示してもよいでしょう。それで教室に戻れたら、みんなといっしょに教室に戻れたことをほめます。成功体験を増やすことで、活動の切り替えも徐々にスムーズにできるようになっていきます。

次の活動の見通しが持てる配慮を

一日の流れがわかるように、絵カードや写真を使ったスケジュール表を教室に貼ってもよいでしょう。終わった活動に印をつけると、よりわかりやすくなります。

部分的な参加も認める

子どもが納得しない無理強いは、保育者への信頼を減退させる原因になるかもしれません。子どもと相談し「これはやってみよう」と約束したうえで、参加できたことを認めるなどの関わりを考えましょう。

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ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび