身辺自立や生活習慣が身につかないという悩みや心配
食事のときの遊び食べがひどく、注意してもなかなか直りません。毎日、食事のたびに怒ってばかりなので、疲れてしまいます・・・。
前は自分で朝の身支度ができていたのに、下の子が生まれてから着替えも「やって」と言うばかりで、できなくなってしまいました。・・・
生活習慣についての悩みを、保護者からきくことは少なくないですね。
食事や着替え、片づけ、あいさつなど、毎日の家庭生活のなかで保護者の思ったとおりにいかない場面に悩んでいたり、保育参観などの機会に「ほかの子ができているのに、うちの来はまだ」と気づいて心配することがありますよね。
このような心配に対しては、『生活習慣は日ごろの繰り返しで徐々に身についていくものなので、焦らないでじっくりと』と答えましょう。
今の状態がずっと続くわけではなく、園と家庭とで気長にかかわっていくことで、いずれはできるようになっていくものです。
それでも、生活習慣については、どうすればいいのかわからないこともあったり、保護者はすぐに家庭で実行できる具体的な方法を知りたがりますね。
なのでお答えするとすれば、例えば質問にある「遊び食べ」については、食事を少量にして時間を決めて食べる。おもちゃは目に入らないところに片づける。「着替え」であれば、右足は保護者がやってあげて、左足は子どもに自分ではかせてみる、ボタンのかけ外しはボタンの衣服から始めてみる、「あいさつ」はまず保護者が手本を見せる、などになるでしょうか。
子どもの環境に変化があった場合には、片づけや着替えなど、能力的にはできるのに「できない」と言ったり、「お母さんやって」と言うようなケースもあります。
そういうときは、「やってほしい」という気持ちを受け止めることも大切です。保護者のなかには「甘やかすと自立が遅れる」「自分でできなくなってしまう」と考えて。「自分でしなさい」と突き放す人もいますが、「やって」と言ってくるのは、下の子が生まれて寂しい思いをしていたり、甘えたい子どもの心情でもあります。「一緒にやってみようね」と快く応じてあげられるといいですね。
通っている園では、集団のなかで自然と生活習慣を身に付けられるようにさまざまな工夫がなされていると思いますので、園でのようすを保護者に伝えて、できる範囲で日々の生活に取り入れてもらえるとよいのかもしれませんね。
保護者にはさまざまな方はいますので、あくまでも、それぞれの家庭のやり方があることもお忘れなく。
子どもが園を嫌がるという悩みや心配
年少児や園に慣れていない子どもの場合、家族から離れるのがいやだったり、集団になじめないことが原因だったり、休み明けで生活リズムが変わるときなどに、登園をしぶることがまだまだあります。そういう子どもは、縁で楽しめる遊びや自分の居場所が見つけられると落ち着くでしょう。登園したときに保育者が「○○ちゃん、待ってたよ。今日もいっぱいあ遊ぼうね」と声をかけたり、「今日はこんなことするんだよ」と園での活動に期待をもたせる言葉も効果的です。
朝、泣いて登園したときは、保護者も一日中とても心配していますから、その後のようすを「仲良しのお友達とままごとをして、にこにこ遊んでいましたよ」などと具体的に報告しましょう。また、保護者には家庭での子どものようすを十分にきいたうえで、過剰に励まさず寄り添う気持ちをもって、園と家庭とで一緒に見守っていくように伝えましょう。
友達との関わりが深くなってくると、登園を嫌がる理由の多くが「友達とケンカした」「友達に強引に遊びを指示される」「仲間に入れてもらえない」などになってきます。その場合は、やはり保育者が働きかけて、子どもの気持ちに折り合いをつけて、園を楽しみにできるようにすることが大切です。登園を嫌がっている子どもには、「どんなことが嫌なのかな。先生にお話ししてくれない?」と声をかけ、子どもが納得できるように話し合ったりフォローをしていきます。
同時に、保護者には折を見て「友達とのトラブルを経験するのも成長の一過程」とお話してもよいでしょう。4歳児、5歳児になると友達にいわれたことを家でも話したり、自分の意見を聞いてもらえず悔しいなど、複雑な感情をもつようになります。保護者は友達とのトラブルと聞くと動揺してしまいがちですが、そんな話ができるようになったわが子の心の成長にも、ぜひ目を向けてほしいと思います。