個人面談の内容、進め方、ねらいとは
個人面談は保護者と保育者が1対1で語り合う場ですね。
一緒に子どもを教育、保育していく関係として、一人の子どもの育ちの理解や、共通認識を深めることが目的です。
今後の教育や保育にいかせるよう、お互いに情報交換をしていきましょう。
園からは食事や遊び、取り組んでいる課題など、保護者に日ごろの園生活の様子を伝えます。
そして、保護者からは子どもが降園してからどのようにすごしているのか、家庭での様子を教えてもらいましょう。
保護者に日ごろはなかなか聞けないことや相談したいことを話してもらうよい機会でもあります。
保育者も心を傾けてじっくりと話をききましょう。
そのために、保護者が安心してなんでも話せるような雰囲気作りが重要になってきます。
短い時間の中でも、保護者に「話せてよかった」と思ってもらえる面談にできるよう、心を通わせて話し合うための事前の準備と面談の進め方を考えてみましょう。
個人面談がうまくいく、計画と準備とは
個人面談に時間は限られています。
話し合いたいテーマを事前に決めて、準備すれば、当日の面談がスムーズに深い内容になります。
保護者はどんなことを話し合いたいと思っているのか、お知らせや質問票でヒアリング
面談の場で園から話すことをお知らせし、保護者が聞きたいことをあらかじめきいておきます。
どんなことを聞きたいのか、具体的に質問票に書いてもらい、事前に把握しておきます。
面談のテーマを決めて、下調べと整理をしましょう
質問票が戻ってきて、保護者の希望を把握したら、面談でどのような内容を話したらよいかがわかりますね。
これまでに書いてきた個人記録を振り返るなど、エピソードや内容を整理しておきましょう。
こちらから伝えたいこともわかりやすく簡潔にまとめておきましょう。
事前に準備することで、答え方がわからない質問も、主任や園長に相談することができます。
スムーズに進めるために優先順位と面談の流れを考えましょう
面談のテーマがある程度決まったところで、おおまかな面談の流れを決めましょう。
実際には当日の話しの流れで変わるとしても、優先順位を決めておけば、限られた時間のなかで大事なことを忘れずに伝えられます。
話しやすい雰囲気にする面談会場の準備
リラックスして話してもらうには、面談する場所の雰囲気も重要なことですね。
テーブルかけをかけたり、花を飾ったりして、準備をしましょう。
子どもの写真や、子どもが描いた絵を飾るのもいいでしょう。
部屋に入ってきた保護者に「この絵はAちゃんが描きました。とても活発な絵ですね」などとみせると、話しのきっかけにもなるので、おすすめです。
話すより保護者の話しを聞くことに重点を
保育者に「注意されてしまうのでは・・・」と考えて、身構えている保護者もいるかもしれません。
まずは、保護者の話しを聞く姿勢をみせて、安心して話してもらいましょう。
そのためには、保護者の話しを聞きだすようにするのが7割、こちらから伝えたいことは3割にするくらいの心づもりで面談にいどむとよいでしょう。
保護者に主体的に考えてもらう
子育ての主役は、あくまで保護者です。相談されたことには、「こうしてください」と答えるのではなく、「そうですね。そういう考え方もありますね。
ほかにもこういう方法もいいかもしれませんね」といくつか、選択肢を出して、保護者が自分で考えて答えを出せるように支援していきます。
「困っていたけれど、これなら私にもできそう」と保護者に思ってもらえれば、しめたものです。
園での様子の伝え方は肯定的に
保護者は「先生はうちの子をどのようにみてくれているのだろうか」という関心を持って面談に来ています。
具体的なエピソードを交え、保護者が気づいていない子どものよいところを伝えるようにします。
また、子どもの成長を感じられるような、肯定的な伝え方をしましょう。
気になることや課題は対応を話し合う
面談は子どもの課題を話し合うよい機会ですが、困っていることやマイナスの面を一方的に伝えられるだけだと、保護者は困ってしまいます。
保育者はまず事実を伝えます。
行為の意味を伝え、成長や育ちの観点からの肯定的な捉え方を話します。
そのうえで、園としては、どう取り組みたいか、家庭ではどのように対応してほしいかを保護者を話し合うことが大切です。
ちょっとしたコツで。コミュニケーションを円滑に
保護者のなかには、話すのが苦手な人やコミュニケーションがとりにくい人もいます。
そんなときはちょっとした聞き方のコツを生かして、話しをスムーズに引き出しましょう。
例えば・・・話しがあちこちに飛ぶ、内容がわかりにくい保護者には、「こういうことですね?」と確認しながら話しを聞きます。こうするとお互いに内容を把握しやすくなります。
安請け合いをしない
保護者に安心してもらおうと、つい「大丈夫ですよ」と言いたくなってしまいますが、これはよくないです。
共感するのと安請け合いをすることは違います。
口先だけにならないように、真剣に向き合いましょう。
面談内容については保護者自身が解決できるように支援はしますが、「園にまかせてください」と容易には言わないようにしましょう。
要望とクレームには共感と誠意で応える
保護者の話しは、さえぎったり否定したりせず、最後まで聞くことが大切です。
話しを受け止め、「そうでしたか、それは困りますね」と共感のことばを。すぐに答えられないことは即答せず、「ほかの職員とも話し合ってお答えしますね」などと誠意をもって伝えます。
面談時にも話しを聞く姿勢をみせる
時間切れになってしまったといきは、話しを打ち切るのではなく、話しを聞く機会をつくる姿勢をみせること。
このとき、「この話しは別の機会に」というだけで流れてしまいがちですね。
具体的な日時を決めて、実際に面談できるようにすることが重要です。面談の後は、「これからもお話しを聞かせてくださいね」と伝えます。
折りをみて「その後いかがですか?」などと声をかけ、面談だけで終わらないようにします。