この記事で解決する問題
保育参観や保育参加は、どのような目的でやるの?保護者が参加したり、保育のようすを見に来るのだけど、どのように企画をしていけばいいの?
という疑問にお答えします。
②保育参観とは?
③保護者と園の協力態勢をつくる、保育参加や保育参観のポイント
④0歳児は保育参加で子育て支援を
上記のポイントごとに解説していきます。
保育参加や保育参観のねらいと内容とは?
子どもが園でどんなふうに過ごしているのかを実際に見てもらうことで、保護者のさまざまな不安に応え、子どもの成長や保育についての理解を深めるきっかけになるのが保育参加や保育参観です。
また、保育者や他の親子との連帯を深め、孤立しがちな子育てを支える意味でも重要な行事です。
だからといって、特別な保育内容を見せる必要はありません。「見せるための保育」にならないよう、子どもや保育者にとって負担や無理のない、ふだんどおりの計画を立てましょう。
特に、0・1・2歳児クラスでは、「いつもの姿」を保護者に見てもらうことがいちばんの狙いです。ただ、保護者が保育室にいると、子どもが落ち着かなかったり、後追いしたりで、いつもどおりの保育を展開しにくくなることも悩みですね。
そこで、保育参加や保育参観のそれぞれの特性を理解したうえで、子どもの年齢に合わせて、園での自然な姿を見てもらえる方法を工夫することが重要になります。
保育参加とは?
保護者に登園から半日ほど保育室で、子どもと一緒にあそんだり、給食を食べたりして保育を体験してもらいます。
子どもと過ごす楽しさを味わいながら、子どもへの接し方や子ども同士の関わりなど、保育への理解を深めてもらいます。
次のことが、ねらいとなります。
●子どもと一緒にすごす
●保護者自身の日ごろの育児の仕方や子どもとの関わり方を再確認してもらう
●園での生活習慣の援助のあり方やあそびなどを知り、家庭生活にいかしてもらう
●保育者やほかの子どもたち、保護者との触れ合いを楽しみ、つながりを深めてもらう
保育参観とは?
園での子どものありのままの姿を見てもらいます。
そのために0・1・2歳児クラスでは、保護者が参観していることを子どもに意識させないように見学してもらいます。
●園でのふだんのようすを見ることで、家庭でのようすと違いがないか見てもらう。違いがある場合、どちらかで自己発揮できていない可能性があるので援助のきっかけにする
●保育者や友達との関わりはどうか、保育者の子どもへの対応の仕方を見てもらう
●保育の場(集団)だからこそ体験できることへの共感と理解を得る
保護者と園の協力態勢をつくる、保育参加や保育参観のポイント
事前のお知らせやお願いで保護者の協力をお願いする
事前のお知らせで、園としての方針や活動の観点、注意事項を伝え、当日の保育に対する理解と協力を得ておくことが大切です。
ありのままの姿を見てもらうため、参観中に子どもに声をかけないでほしい、支持を出さないでほしい、手を貸さないでほしいといったおねがいや、家庭ではみられない子どもの姿や態度などをたくさん発見し、認めてあげてほしいなど、伝えておきましょう。
また、保育の妨げにならないよう静かに見てほしいということも、場合によっては必要かもしれません。
保育参加の場合は、保育の活動に入ってもらうため、動きやすい服装で来てもらうことや、周りの子どものようすも見てもらうようお願いしてもよいでしょう。
いつでもだれでも参観できる、見通しのよいクラス運営を
年度初めの懇談会などで「決められた日だけでなく、年間を通していつでも見に来てくださいね」とお知らせします。
「うちの子、お友達に乱暴しているようで心配です」「園ではなかなか自分を出せないようですが、どうですか?」などと保護者が不安を訴えるとき、園でのようすを見てもらうよう誘ってもよいでしょう。
親子で楽しくすごす保育参加を企画しましょう
1・2歳児クラスの場合や父の日の保育参加には、大勢の保護者に出席を呼びかけ、楽しく交流するのもよいでしょう。
ホールや園亭などに集まって、子どもたちがいつも楽しんでいるあそびに加わってもらい体を動かしたり、子どもたちが好きな歌を一緒に歌ったり、ほかの保護者や子どもともかかわりが持てる活動も盛り込みましょう。
保護者の理解を広げるようにフォローしましょう
けんかをする子、乱暴な子、話をきけない子などを保護者が「困った子」ととらえないように、子どもの成長の過程で見られる言動として、理解してもらえるような説明をしましょう。
また、その日の行動が園生活のすべてではないことも伝えます。参加や参観を意識して、いつもの行動と違う態度になってしまった子どもがいたら、フォローしましょう。
保護者の声を保育に反映させる
家庭でのようすと、園でのようすの違いなど、保護者の声を聞ける貴重な機会です。
参加や参観の後には、懇談会を設ける、アンケートをとるなどして、感想や気づいたことを教えてもらいましょう。
意見や質問にはきちんと対応し、保護者が園への信頼感を持てるようにします。批判を受けたら「自分の保育を保護者と一緒に考え話し合うチャンス」と前向きに受け止めましょう。
保護者との連携は子育て支援への第一歩です。
次のページでは、0歳児の保育参加についてご紹介します。
0歳児は保育参加で子育て支援を
0歳児クラスでは、子どもとの触れ合いを楽しめる保育参加を企画しましょう。
実際に保護者に保育者役として保育を体験してもらい、保育者やほかの保護者の子どもたちへの接し方を見ることが、育児のヒントになります。
当日は自分の子どもに関わりながら、月齢の違う周りの子とも接してもらうことで、今後の発達の見通しを持てるようにもなります。
ふだんの保育に加え、家庭でもやってもらいたい触れ合いあそびや歌を取り入れて、保護者と子どもが楽しく交われるプログラムを用意しましょう。
保育環境にもよりますが、子どもの生活が維持できるよう、一度に大勢の参加は避け、適切な人数になるようにしましょう。
0歳児クラスについては、保育参観よりも保育参加がおすすめですが、その理由として、0歳児は保護者がいることがわかると、どうしても保護者を後追いしてしまい、ふだんどおりの保育のようすを見てもらいにくくなるからです。
また、見知らぬおとなが保育室で参観している状況は0歳児の不安をあおります。かといって、0歳児の小さな声は聞き取りにくいので、保育室の外から窓越しに参観してもらっても子どものようすもよくわかりません。
また、0歳児クラスは比較的育児経験の浅い保護者が多いので、子どもと楽しくすごしながら保育を体験してもらえる保育参加がよいでしょう。
さて、保育参加の内容としては、保育への理解を深めるプログラムがよいでしょう。
ふだんどおりの保育もねらいを意識したものにし、保護者に見どころを伝えることで理解を深めましょう。
保護者とお話をする
一人ひとりの成長のようすを具体的に伝えましょう。
子どもの行動や今後の発達について、見通しをもって話しましょう。家庭で困っていることがあれば、いっしょに考えていきましょう。
散歩コースへ
一緒に散歩に出かけて、乗り物や犬など子どもの興味のあるものを見ましょう。
子どもの気持ちを受け入れながら、保育者がどんなことばをかけるのか、気づいてもらえるとよいですね。
触れ合いあそび
日ごろ、保育者と子どもが楽しんでいるあそびを一緒にします。
親子でやってもらい、子どもの表情を見ながらあそぶことや、おとなとの関わりの大切さを知ってもらいます。
生活の介助
離乳食を子どもに食べさせるときは、舌や唇の動きをみたり、食べる量を知ってもらったり、園で心がけていることを伝えます。
保護者には試食もしてもらいましょう。育児の参考になるよう、月齢の違う子どものようすも見てもらいます。