子どもの感性を育てるヒント、ねらいとは?
幼児期は感性を伸ばすために大切な時期です。そうはいっても、どうして感性が大事なのか、どんなかかわりが感性を育むのでしょう?そんな気になる感性について、ご紹介します。
豊かな感性は、学びの原動力
感性という言葉を辞書で引くと、「外界の刺激を受けて、それを心に感じ取る力」といったことが書かれています。簡単にいえば、「ものごとに心を動かす力(感動する力)」、さらに具体的にいうなら、見たり、触ったり、聞いたりという体験に「うわー、きれいだな」「すごいな」「これなんだろう」となどと心を動かすことができる力、ということになるでしょう。
このような心の動きは、「触ってみたい」「やってみたい」「もっと知りたい」といった欲求につながります。感性を磨いて「感じる力」「心を動かす力」を高めることが、「~したい」という意欲、学びの原動力につながります。
多様な体験が、豊かな感性を育みます
感性は、実際にさまざまな体験を重ねることで少しずつ育まれていくものです。ですから感性を伸ばすには五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)を震わす豊かな体験をたくさんすることが欠かせません。
幼児期の子どもは、日々、五感を総動員しながら周囲のさまざまなことを吸収しています。まさに幼児期は、人生のなかでもっとも感性が育まれる時期だといえます。そのような貴重な時期だからこそ、保育者は子どもがさまざまな経験を通じて、感性の芽を育てられるように環境を用意し、体験の場を与えていくことが大切です。
感性を育むためのポイント
さまざまな体験を用意する
さまざまな体験とは、決して特別なイベントを用意することではありません。幼い子どもにとっては、毎日の園生活そのものが新しい体験であり、心を動かす機会の宝庫です。日々、子どもの発達をしっかりとらえ、さまざまな視点から充実した保育を構成、展開していくことが、豊かな体験を用意することになります。
子どもの心の動きに共感する
保育者は、知識を高めることやあそびを発展させることを意識しすぎて、つい子どもの活動を誘導してしまいがちです。しかし、それでは本当の意味での子ども感動体験にはつながりにくくなってしまいます。大切なのは、子どもを保育者の意図にのせるのではなく、子どもの心の動きをとらえて、保育者がそこに共感を示すことです。
元来、子どもには、ものごとに心を動かす力が備わっています。しかし、その感動を明確な形で自分のなかに吸収したり、それを表現して人に伝えたりする力は十分に育っていません。子どものわずかな心の動きをとらえ、保育者が「きれいだね」「不思議だね」と共感することで、子どもは自身が感じた心の動きを体に刻むことができ
ます。そして、感動を言葉や形で表現する保育者を見ながら、自分の心の動きを表現する楽しさや喜びを学んでいきます。