保育の中で子どものけんかやトラブルはどのように仲裁する?保護者への対応も。
たくさんの子どもたちが集団生活をする園では、子ども同士のぶつかり合いや行き違い、トラブルはあって当然です。
また、子どもにとってトラブルは、他者との関わり合いや自分をコントロールする力を学ぶための機会でもあります。
しかし、園にわが子を預ける保護者にとっては、子ども同士のけんかやトラブルは、現場を直接みることができない分、心配になるものです。
子どもから断片的な話を聞いて不安が大きくなり、園に問い合わせることも少なくありません。
保護者会や保護者産官などでは、子ども同士のぶつかり合いは、子どもの成長にとって必要であること、また園ではそうした子どもたちを見守り、子どもだけでは越えられないことがあれば、保育者が間に入ってきちんと対応していることを説明しましょう。
過去にトラブルがあって不安を感じている保護者には、その後のようすも折にふれて伝えていきましょう。
トラブルを経験し、自己主張ばかりしていた子が初めて人に譲ることができたなど、子ども自身の成長も伝えていくと保護者も安心します。
また、トラブルが原因でケガをしたときは。そのときの状況、その後の手当てなどを話し、保育中にケガをしてしまったことに対して、園としてきんと謝罪するのが、基本の姿勢です。
保護者の不安をとりのぞくポイント
保護者の気持ちに共感し、その不安に耳を傾ける
まず「それは心配でしたね」、「よく話してくださいました」と気持ちに共感し、相談してきたことを受け止めましょう。
保育者が保護者と一緒に考える姿勢をみせることが、保護者からの信頼を得る第一歩になります。
子どもの言葉だけでなく、保育者からも説明を
トラブルがあったとき、子どもの言葉だけでは詳しい状況や理由までは分からないため、保護者は不安を感じます。
保育者が言葉を足し、保育者にそのときの状況や子どものようすを理解してもらえるようにしましょう。
どちらが悪いという判断より、双方の気持ちを大切に
子どもがケガをさせられたり、乱暴をされたときは保護者は相手の子を「ひどい子」「一緒に遊ばせたくない子」と捉えて、神経質になりがちです。
相手の子が乱暴をした理由や気持ちも折をみて説明しましょう。
子どもの育ちと併せて説明し、子どもたちの成長ぶりを伝える
子どもの年齢による育ちもふまえて、保護者に説明できるといいですね。
けんかをきっかけに子ども同士の関係が深まったなど、トラブルを乗り越えて子どもが成長した姿を保護者に伝えていきましょう。
子ども同士のトラブルでケガをしたときは
子ども同士のトラブルでケガをしてしまった場合、その後の配慮が行き届かないと事態を混乱させてしまうこともあります。
小さなケガでも、保護者に報告するほうがよいこともあります。
「おもちゃの取り合いになり、お互いゆずらず腕をかまれてしまいました」など、歯型やつめのあとが残っているものは特に忘れず保護者に伝え、どんなやり取りがあったかを説明しましょう。
小さな擦り傷でも、園から報告があったことに安心する保護者もいます。
ケガの原因となた相手の子どもの名前を知らせるかどうかは場合によります。病院を受診するようなケガ以外は知らせないことが一般的だといわれていますが、園によって方針が異なることが多いので、周りの保育者や園長と相談して決めましょう。
ケガをさせたこの保護者に状況を伝えることも
友だちに押されて頭を強く打ち、念のため病院を受診してもらったというような、気掛りなケガをすることもあります。
そういう場合は、ケガの原因となった子の保護者にも、トラブルの経緯やケガの程度を伝えることもあるでしょう。
ケガをさせた側の保護者に、相手に謝りたいという意向があるときには、そのようにしていただくこともあります。
その場合は、保育者から「私からもお気持ちを伝えておきます」と添えるとよいでしょう。
特定の子どもに対してクレームがきたときは
「うちの子は、Aくんによく頭を叩かれるといっています」と、子どもの話しを聞いて、特定の子どもの名前を挙げ、保護者が不安を訴えてくることがありますね。
そういうときは、できれば一度園に来てもらい、園長や他の保育者同席の上で、保護者の話しをじっくりと聞きましょう。
まず、不安な気持ちを十分に受け止め、状況をよく見守り、対応を一緒に考えていくことを伝えましょう。
そのうえで、「叩かれた」という子どもの訴えに対して、何が原因でトラブルになってしまったのかを、保育者ができるだけ把握しておき、それを伝えましょう。
相手がどんな気持ちでやってのか、それに対して園がどう対応していくかなど、保護者の不安な気持ちを受け止めながら、一つひとつ具体的に説明して、保護者が納得し安心してもらうことが大切です。
日頃から、保護者とコミュニケーションを
子ども同士のトラブルを不安に思われる保護者は、日ごろから保育者との会話が少ないことも多くあります。
ふだんの保育者と保護者との関係も大切に築いていきたいですね。
きちんと園と信頼関係ができている保護者は、子ども同士のトラブルがあったとしても、「子どものことだし、こういうこともある」と思ってもらいやすくなります。
うちの子、いじめられているのでは?と心配しているとき
子どもは、よく園で起きたことを「今日、Bちゃんに叩かれた」「イジワルされた」などと家庭で話します。実際はお互いに手を出していても、自分がしたことは言わずに、されたことだけを言う場合もあります。
また、けんかをしてもすぐに仲直りし、その後は一緒に仲良く遊んでいても、家ではけんかしたことだけを言ったりもします。
こういうとき、保護者は保育中のようすがわからないので、「いじめられているのでは」と心配になることもあります。
園で友達とのけんかやトラブルがあったときは、お迎えのときなどに保護者へ「今日、こんなことがありました」とひとこと伝えておくとよいでしょう。
そうすると保護者も子どもの状況がわかり、いたずらに不安にかられることが少なくなります。また、園の保育の姿勢や子ども同士の関わりについても理解が深まります。