アサーションという考え方を取り入れて、職場の人間関係のストレスを乗り越える
職場の人間関係は、保育のみならず、保育者のメンタルにも影響を与える問題です。
よりよい人間関係を築き、働いやすい環境にするために、「アサーション」という考え方を取り入れみてはいかがでしょうか。
アサーションとは?
アサーションとは、自分の考えや感情を率直に、その場にふさわしい言い方で表現し、なおかつ相手にも同じように発言を望むという対人関係を表す言葉です。
アサーションの考え方は、1950年代にアメリカでカウンセリングのひとつとして開発されたのが始まりで、その後、1970年代から一般の人にも広まり、日本でもさまざまな職場で活用がすすんでいます。
アサーティブな人間関係、アサーティブな人という表現でも使われるため、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
自己表現の3つのタイプを知る
自己表現のスタイルは大きく3つのタイプに分けられます。
自分の表現はどのタイプになることが多いのか、日常的に、自分自身の表現を振り返るといいですね。
次の例をもとに、自分自分がどのタイプなのか、考えてみましょう。
例:今日は仕事が終わったら、友人と食事会があるため、早く帰ろうとしていたところ、同僚から「発表会の準備を手伝ってほしい」と頼まれました。そういうとき、あなたはどのように答えますか?
「無理」と率直に断る(攻撃的な主張)
今日は予定があるし・・・ということで、率直に断る答え方です。相手の考えを無視し、自分の考えを通そうとすると、攻撃的な表現になり、周囲が嫌な思いをすることもあるので気をつけましょう。
「やります・・・」と受け入れる(非主張的)
相手の主張を優先すると、自分の意見はいえず、相手の言いなりになってしまうこともあります。あとで自分に不満が募ってしまうことも。
「今日は難しいけれど、明日なら」とアサーティブに答える
相手を一方的に責めることなく、自分の思いも伝えながらお互いに歩み寄る、理想的な表現といえます。
アサーティブでは、「どう言うか」ということよりも、人とオープンに付き合うことが目標
自己表現をするというと、ハキハキと上手に自己主張することを思い浮かべるかもしれませんが、大切なのは、自分らしい表現をみつけることです。
たどたどしくてもよいので、相手を攻撃せずに自分の気持ちをすなおに伝える。そのような対話の経験を重ね、人に対してかまえずオープンに向き合えるようになることが大切です。
しかし、どんなに意識していても、オープンな対話ができなくなるときもあるでしょう。
人間関係を難しくする要因のひとつに、不合理な思い込みということが挙げられます。それぞれの人がもっている、思考の「くせ」のようなもので、「思いぐせ」ということもできるでしょう。
よりよい人間関係は、お互いの違いを認めることから
人それぞれに思いぐせがあることからもわかるように、日常生活では、お互いの考え方や感じ方が完全に一致するとは限りませんし、一致しないことのほうが多いかもしれません。
違って当たり前ということを自分で受け入れられると、人と柔軟に対話をしていくことができるでしょう。
自分らしい自己表現のしかたをみつけることは、自分に自信を持ち、人に対する思いやりを持ちながら人と関わっていけるということでもあります。
保育者どうしや保護者との信頼関係にもつながり、保育にさらなる充実感や喜びをもたらすことになるでしょう。