産後うつが子どもに与える影響
母親の産後うつが子どもに与える影響
妊娠中から産後あるいは幼児期の母親のうつ病は、子どもの健康に短期的または長中期的な影響を与えます。
妊娠中にうつを経験した母親の子どもは、うつでなかった母親の子どもと比較して、新生児期から対面や声かけに対する反応が乏しく、神経質で覚醒がちであるといわれています。
また、幼児期になってから、気難しい気質であったり、睡眠に問題が生じたり、認知能力の低下や恐怖心の増加がみられます。
ここで気をつけたいことは、産後うつそのものが子どもに影響を与えるわけではないということです。
産後うつに罹るのは母親で、その子どもではないからです。
産後うつを発症した母親の子どもは、認知や情緒の発達に不利な影響が生じるといわれていますが、それは、産後うつによって母親と子どもの相互作用がうまく機能しないことによるものなのです。
産後うつになっている母親は、子どもの行動や感情の発信に対して適切な対応をすることができないので、母親との交流によって生まれる子どもの興味や運動の発達が十分に促進されません。
子どもの健全な成長や発達のためには、母親の産後うつを可能な限り早急に治療することに加え、母親だけでなく、家族全体で子どもの相互作用がうまく機能するように促進していくことが大切です。
父親の産後うつが子どもに与える影響
父親は母親とは異なり、妊娠などの生物学的な要因はありませんが、生物学的な要因の他は、産後うつになる要因として、母親と大きな違いはなく、産後うつになった保護者としての対応するとよいかもしれません。
父親の産後うつは、先に母親が産後うつになり、その影響を受けて今度は父親が産後うつになるということが多いようです。
夫婦ともに産後うつの場合は、子育てに多大な影響が生じると考えられるので、要注意です。
また、産後うつの父親は、健常な父親と比べて、子どもとの関わりが少なく、子どもの行為障害や認知発達に影響することが指摘されています。
産後うつになっている父親・母親以外の家族への支援
産後うつを発症した親だけでなく、その配偶者や家族も支援していくことも大切です。
家族のそれぞれの役割を確認し、母親と子どもが安心して日常生活を送るための協力体制や利用できる社会資源について家族と相談する必要があります。
母親の産後うつについて、適切に治療をすれば症状が軽快することを家族に伝え、産後うつになっている母親への接し方として、過度な励ましや心配は避けること、母親を見守りながら自らも疲れないように生活をすること、困ったときはいつでも連絡をしてよいこと、母親の症状に変化が生じた場合の対処方法などを助言しましょう。