死を怖がる子供もいます。死と生について丁寧に説明しましょう。
生き物が生きるということ、死ぬということ・・・子どもたちにしっかりと伝えていきたいテーマですね。
日々の保育のなかで生命の大切さを子どもたちに伝えるヒントを探ってみましょう。
幼児は「死」を正しく理解できるの?
幼児でも、生きているものと生きていないものを区別することができます。
しかし、死んだら二度と生き返らないという死のもっとも重要な性質である不可逆性の理解はまだできません。
3~4歳児でも「死ぬ」という言葉を口にすることがありますが、大人と同じように「死」の意味を理解して使っているわけではありません。
さらにもう少し大きくなっても、就学前の子供では「死ぬ」ことと「どこかへ出かけた」という一時的な別れをはっきりと区別してとらえることはできていません。
そのため、身近な家族が亡くなっても、子どもは人が集まるお葬式で興奮してはしゃいでしまうこともあります。
しかし、これおも子どもが「死ぬ」ということの意味を正しく理解できていないからこその振る舞いですから、頭ごなしにしかることは好ましくありません。
「死んだら生き返らない」ということを子どもが理解できるようになるのは、小学校中学年ごろからだと言われていますので、子どもが「死」の不可逆性やその普遍性(命あるものはすべて死ぬこと)を正しく理解できるようになるには、知的能力の成長を待たなくてはなりません。
そして、この発達には個人差があります。
子どもが体験したできごとや、家族が日ごろ先祖をどのようにお祭りしているか、などの環境によっても異なるでしょう。
ですから、幼い子どもに「死とはどういうことか?」という「死」の本質について、正しく理解させようと無理をする必要はありません。
日々の保育のなかで生命の大切さを伝える
生き物が生きるということ、死ぬということ・・・子どもたちにしっかりと伝えていきたいテーマですね。
日々の保育のなかで生命の大切さを子どもたちに伝えるヒントを探ってみましょう。
幼児期の知的能力や知識からすると、まだ「命」や「死」について正しく理解することは難しいですが、それでも「命」の大切さや「死」の悲しさについて、伝えていくことは必要なことであり、また、とても大切なことです。
幼いころから、周囲の大人が「命」や「死」についてどのようなメッセージを伝え、そして、「命」について学べる体験を重ねられるよう導いていくかは、その後子どもが「命を大切にできる人間」になれるかどうかに大きく影響していくでしょう。
幼児期に「命」について理解することは難しいとはいっても、「命」の大切さを伝えていきたいですね。
「命は大切にしなければいけない」と言葉で教えるだけでは、子どもにその意味や大切さを実感として理解させることは困難です。
では、どのようにすれば幼児に「命」の大切さを伝えることができるのでしょうか?
有効な方法のひとつとして、実際に子どもが植物を育てたり、小動物を飼育するという経験をさせることです。
世話をしたり、その成長を見守ることで、子どもは生き物に愛着を持つようになります。
このようにして、生き物に対する愛情を育むことも、命の大切さに気付かせるためのひとつの重要な要素です。
しかし、ただ「かわいいね」「きれいだね」といって育てるだけでは十分ではありません。どうしてエサや水をあげるのか、どうしてウンチをするのか、どうして元気がなくなってきたのか、花はどうして枯れるのかといった具体的なことについて、子どもと話し合うことが大切です。
幼児期の子どもは、擬人化して物事を考えることが得意です。
ですから、たとえば、植物の成長に水が必要なことを「のどが渇くと水を飲みたくなるから、お花にも水をあげないと元気がなくなってしまう」というように、人間になぞらえて話すと、子どもは理解しやすくなります。
子どもは生き物を飼うという経験を通して、「生きるとはどういうことか」を学び取っていきます。
動物園への遠足、公園の散歩、秋のイモ掘りなども、生き物について知るよい機会ととらえることができるでしょう。
有効な方法として2つめに挙げられるのは絵本やお話しなどを通じて「生きること」「死ぬこと」を知識として学んでいくことです。
そのためには、まずよい教材を選ぶことが大切です。ゲームやテレビ番組のなかには、簡単に人が死んだり、暴力的なシーンが出てくる内容のものもあるので、大人が内容をチェックしてから与えることも必要です。