食事のマナーを学んで、楽しい食育を
友だちや保育者、家族など、大好きな人たちといっしょに食事をする時間は楽しいものですね。
いっしょに食事をする相手とともに、気持ちよく食べられるよう、食事のマナーや食卓でのルールを覚えましょう。
食事のマナーは、いっしょに楽しく食事をするための「お約束事」です。
保育者は、子どもたちが楽しく食事のマナーや食卓でのルールが身に付けられるよう、工夫してみましょう。
それには、知識として習得させ、単に繰り返し教えるのではなく、子どもたちが興味や関心を持ち、みずから行動して身につけていけるプロセスが大切です。
子どもの発達に応じたあそびや活動を工夫し、必要な食事のマナーや、はしの使い方などを体得できるように支援していきましょう。

3歳児の発達の目安
●身近なものや事柄への興味や関心が高まる
●順序が分かり、ルールや外界の成り立ちに興味をもつ
●スプーンやフォーク、はしを使いたがる
●ひとりでも食べられるようになる
3歳児の食育のねらい
●食べられる量がわかる
●食具や食器の使い方がわかる
3歳児の食育の活動内容
●自分のはしを用意する
●給食当番活動を設定する
●手指を使ったあそびをする
4歳児の発達の目安
●友だちとのかかわりが広がる
●自分の行動をコントロールしたり、挑戦しようとしたりする
●手指が器用になり、道具を自在に動かせるようになる
4歳児の食育のねらい
●友たぢとなかよく食事をする
●はしを正しく使う練習をする
4歳児の食育の活動内容
●食べ方やマナーのチェックリストをつくる
●やってはいけないはしの使い方を知る
5歳児の発達の目安
●家族やクラスでの自分の位置がわかる
●長い見通しがもてる
●食具や食器使いが安定する
●ひとりでうまく食べられる
5歳児の食育のねらい
●「みんなで食べる」楽しさを理解する
●正しいはしの使い方をマスターする
5歳児の食育の活動内容
●クッキングを体験する
●食材に応じて、はしを使い分ける
●食事の準備や片付けなどを習慣づける
これらのことに配慮をしながら、子どもたちに食事のマナーを教えていきたいですね。
食事のマナーを身につけよう
食べるための技術を身につけはじめた子どもたちに、発達に応じた活動を設定して、正しい食事のマナーを伝えていきます。
食事のマナーを知る
3歳をすぎると、おとなの手を借りなくても、ほとんどこぼさず、ひとりで食べられるようになります。
また、好きな食べ物を選び、自分で食べられる量を調整するようにもなります。
食べるための技術を身に付け始める時期に、いっしょに食事をする人への心配りとしての食事のマナーを身につけることは大切なことです。
楽しく習得できるような環境の設定を工夫しましょう。
3歳児
給食当番活動を通して、配ぜんや片付けのしかたを知ります。また、「いただきます」をして、食べ始めることを覚えます。
4歳児
チェックリストで振り返り、子どもが食事のマナーやルールなどを見直すきっかけをつくります。「ぼく、できるよ」と満足感や達成感を感じ、自信をもつことにつながります。
●食事の準備を進んで手伝う
●食事作りを自分から手伝う
●みんなで食べるのが楽しい
●食べる前に「いただきます」という
●食事中はテレビを消す
●口をとじて、よくかんで食べる
●背中を伸ばして姿勢よく食べる
●食べ終わったら「ごちそうさま」という
●使ったはしや食器は自分で片付ける
●みんなと力を合わせて片付ける
5歳児
クッキングの体験を通して、食卓づくりや食器の並べ方、座る位置、配ぜんのしかたなどを確認したり、食事の準備や片付けの手順、やり方などを覚えます。
家庭でもマナーを知る
幼児期は食習慣の基礎をつくり、マナーを身につけるときです。園での体験だけではなく、家庭でも「食事中はテレビを消す」「食べながら立ち歩かない」など、保護者がマナーの見本を示すことが大切です。
はしの使い方を身につけよう
手や指先の操作が器用にできるようになってきたころから、はしの正しい持ち方、使い方を発達に応じて段階的に練習します。
はしを正しくもって正しく使う
3歳の後半になると、全身をつかう運動あそびを楽しめるようになり、同時に、「ちぎる」「ねじる」などといった手や指先の操作が器用になってきます。
はしを上手に使うためには、「握る」「つかむ」「つまむ」「はさむ」「切り分ける」といった細かい作業が必要になるので、発達に合わせて少しずつ身に付くような練習が大切です。食事時間に限らず、ままごとあそびや手指あそびを通して楽しく練習しましょう。
3歳児【手指を使う体験をする】
手指の機能の発達を促すあそびを取り入れましょう。スプーンやフォークがエンピツ持ちで使えるか、グー・チョキ・パーがスムーズにでき、チョキのときに人差し指と中指を別々に動かせるかどうかなどが観察のポイントです。また、家庭で使わなくなったはしや茶碗、皿などを提供してもらい、本物を用いたままごとあそびで、はしの使い方を習得しましょう。
4歳児【はしのマナーを覚える】
友だちや周りの人が不快になる食べ方はしないように、やってはいけないはしの使い方を覚えましょう。
さしばし/仏ばし/寄せばし/迷いばし/探りばし/ねぶりばし/くわえばし/振りばし/かきばし
などは、はしの悪い使い方です。
5歳児【はし使いにチャレンジ】
食材の種類や食べ方に応じた使い方ができるよう練習してみましょう。
豆をつかむ/ご飯をのせる/一口サイズに切り分ける/煮物をはさむ
など、チャレンジしてみましょう。