【発達障害】小学校入学でトラブルにならないために
小学生になるということは、どの子どもにとっても、保護者にとってもうれしいものですね。子どもは大人が思うよりもずっとたくましく、もうすぐ卒園や入学を控えるというだけで、すぐに不安な気持ちになることは少ないでしょう。
しかし、保護者や保育者など、周りの大人が小学校就学ということを意識しすぎてしまうと、その緊張感が子どもに伝わってしまい、子どもによっては落ち着きがなくなることがしばしばあります。
特に、発達障害の子どもの場合、周囲の人の態度や環境の変化に敏感なため、変化の度合いが本人の許容範囲を超えてしまうと、不安になったり混乱しやすくなります。
そのため、これまでは落ちついて行動できていたのに、この卒園が近くなると急にソワソワと落ち着きがなくなり、衝動的な行動をとってしまう子どもも出てくるかもしれません。
その子どものペースに合わせて、あせらず、ゆっくりと
就学前の時期でいちばん大切なのは、もうすぐ小学生になるからといって、その前に何かができるようにならなければならない、というプレシャーをかけないことです。
もちろん、小学生になるというイメージをもたせることは大切ですし、身辺自立など就学に向けて少しずつ身につけていきたいこともありますから、これまでやってきた、その子どものペースに合わせてあせらず、ゆっくりという姿勢を忘れずに取り組んでいきたいですね。
発達障害のある子どもに、卒園前にできるだけ身につけさせたいことは、あいさつをする習慣と、自分の持ち物を管理する習慣です。
この2つがまだ不十分なようであれば、家庭と連携しながら少しずつ練習をしておくとよいでしょう。
また、多動傾向のある子どもは、少しでも長く落ち着いて椅子に座っていられるように練習をしておきたいものですね。
学校では、決まった時間に椅子に着席することが求められますから、学校での過ごし方について子どもに話しをしたり、不安にならない程度に「いつでも自分の思うように動けるわけではないんだよ」と伝えていくことも必要なことです。
ほかに、軽度の知的障害があって理解力が未熟な子どもについては、段取りを丁寧に説明をして、先の見通しがもてるようにしておきましょう。
小学校の授業に対応できるように、文字や数字を教える園もありますが、発達障害のあるなしに関わらず、幼児期の文字などの習得には個人差が大きくあります。
厳しく教えすぎて苦手意識をもったり、就学への不安感につながらないように、教えるときは遊びの要素を取り入れながら楽しく取り組める工夫をしていきましょう。
ただ、どの場合でも大切なのは、過度なプレッシャーをかけたりして、不安にさせないこと。
そして少しでも何かができたときには、褒めて、小学生になることに期待がもてるように配慮をしていきましょう。
小学生になるということは、どの子どもにとっても、保護者にとってもうれしいものですね。
子どもは大人が思うよりもずっとたくましく、もうすぐ卒園や入学を控えるというだけで、すぐに不安な気持ちになることは少ないでしょう。
発達障害のある子どもの保護者への対応
保護者への配慮と連携
卒園を控えている時期は、保護者の多くが何かしらの不安を抱えています。特に、発達障害という目に見えない障害をもつ子どもの保護者は、環境が変わることに対しての不安や悩みが多いものです。
このような保護者の気持ちを受け止めつつ、少しでも不安が取り除けるように支援をしていきましょう。
ふだん、保護者とあまり落ち着いて話しができていないようならば、個別の面談を設けてもよいかもしれません。
面談では、心配や悩みごと、園生活に対する要望などを丁寧に聞いてみましょう。
話しをうちに、保育者側から何か言いたいことが出てくるかもしれませんが、ひとまずは話しを聞くことに徹します。
就学に向けて、課題になることがあれば、どのくらいできるようになることを目標とするのか、園と家庭とで話し合い、連携の取り方を考えていきましょう。
発達障害の子どもにとって、食事や排泄、着替えなどの身辺自立ができていることは、就学後の学校生活をスムーズに進めるためのひとつの大きなポイントになります。
身辺面については、就学前にできるだけ身につけられるよう、園でも家庭でも子どものペースを考えつつ、練習を繰り返していきましょう。
また、入学してしばらくは、学校生活に疲れて帰ってくると思います。
いまのうちから早寝早起きをして、しっかりと朝食を食べる習慣をつけられるよう家庭で心がけてもらえるとよいですね。
就学先について相談されたら、どうする?
子どもによっては、就学時健診などで、育ちの遅れを指摘され、普通学級ではなく、特別支援学級や特別支援学校などをすすめられることもあります。
そのことを受けて、就学先について保護者が相談してくることもあるでしょう。その場合は、地域の小学校の情報を提供したり、就学相談を受け付けている機関(自治体の教育相談窓口など)をすすめてもよいでしょう。
進路について、結論を出すのはあくまでも保護者ですが、子どもにとってより良いと思われる選択がされるよう、子どもが楽しく学校生活を送れるよう、保育者も保護者の気持ちを受け止めつつ、一緒に考えていけたらよいですね。
そのためには。就学先の選択について、次のようなことを基準に考えていくとよいでしょう。
普通学級か特別支援学級か
普通学級では、20~30人の子どもを一人の教員が指導します。
そのため、日常的に特別な支援がなくても集団生活が送れるかどうかが一つの判断基準となります。
就学先への配慮について
発達障害の子どもの保護者は、就学先に子どもの障害を報告することを嫌がることがあります。
誤解や偏見をもたれることを恐れているからです。
しかし。集団生活で特別な配慮が必要な子どもの場合、ふだんの様子や対応の仕方を就学先へ伝えることで、学校生活をスムーズにすすめられるものです。
保護者と相談をして、要望があれば誰がどのような内容を伝えるか、よく話し合っていきましょう。
発達障害だと診断されていても、それが軽度であれば、学校にはあえて診断名を伝えずに、個性として苦手なことや得意なことを伝えることもあります。
明らかな障害がある場合は、診断名を伝えることもありますが、同じ診断名でも上体は子どもによってさまざまです。その子どもの特徴をていねいに伝えていくように心がけましょう。