発達障害|イベントに参加できない発達が気になる子どもの対応
発達障害のある子どもにとって、遠足や運動会などの行事は普段の活動と異なる活動で、スムーズに取り組むことが難しいことが少なくありません。
困難になりやすい場面を考えながら、適切な対応とは何かを考えていきましょう。
発達障害のある子どもは、いつもどおりの生活の流れに固執したり、先の見通しがもてないと不安になったりして、いつも以上に落ち着きがなくなったり、泣いて癇癪を起こす傾向があります。そのため、いつもの生活とは異なる、非日常的なことが苦手です。
しかし、園での生活では、入園式や発表会、運動会、遠足など、普段の活動とは異なる行事もたくさんありますね。
また、行事のための練習も、発達障害のある子どもにとっては、行事の本番と同様に非日常的な活動となります。
行事の練習期間中は、いつもの活動とは活動の流れが変わります。いつもの活動では着ない衣装や飾りをつけたり、道具を目にすることも多いでしょう。また、行事にはたくさんの人が集まることが多く、会場も初めていく場所であったり、会場の装飾などでいつもと雰囲気が違っていることもあります。
このような状況のなかで、興奮したり不安を感じたりするのは、障害のあるなしに関わらず、どの子どもにもみられることですが、発達障害のある子どもの場合、癇癪を起こすなど、特にこの傾向が強く表れることがあります。
発達障害のある子どもにとっての「ねらい」を設定し、楽しめる行事活動を
子どもは園の行事を通じて、いつもはできないことをみたり、きいたり、感じたりしながら新たな発見や感動を体験することができます。
行事活動のねらいは「いつもと違うことを体験し、楽しむこと」です。これは、障害のあるなしに関わらず、すべての子どもにあてはまることです。
しかし、実際には、発達障害のある子どもは「できること」で差がでることもあります。
そのなかで、発達障害のある子どもも楽しく行事に参加できるようにするには、保育者が「その子どもにとってのねらい」を設定することが大切です。
ここで注意をしたいのは、あくまで、その子どもにとっての設定を考えるのであり、その子どもに合わせて、行事そのものを変更するというわけではありません。
達障害のない子どもたちのことも十分に尊重することも忘れてはならないことです。
例えば、運動会だからみんなと走らなければならない、発表会だからみんなと踊らなければならない・・・という場面で、すべて周りの子どもと同じように参加すると考えず、「ここまでがんばろう」という目標を設定するのですが、発達障害の子どもがいるから運動会から走る種目をやめよう、発表会で踊るのをやめようとなってはならないということです。
他の子どもと同じようには参加できないことも
発達障害のある子どもは、その程度にもよりますが、他の子どもと同じように行事に参加するのは難しい場合があります。
しかし、みんなで行う行事だからこそ、画期的な発表の場にせず、一人ひとりの育ちを考えて工夫をしていく必要があります。
また、行事の前後は、ふだんの生活パターンやまわりの雰囲気が変わるため、発達障害のある子どもは不安定になりがちです。
みんなと一緒に楽しく参加できるようにするには。どんな配慮が必要なのでしょうか。
保護者や周りの子どもたちのへのフォローを含め、考えていきましょう。
みんなと一緒に活動するのを嫌がる子どもには?
まず、なぜ一緒に活動したくないのかを考えてみましょう。うまくできないから参加したくない、失敗したら恥ずかしいなど、苦手意識が強くて参加したがらない場合には、その子どもなりの目標を設定して、少しでもできたらほめて、自信ややる気をもたせていきます。
また、先の見通しがもてずに不安な様子なら、行事までの行程をひとつずつ、丁寧に説明して、安心感を得られるようにしていきましょう。
人前に立つのが苦手な子どもには?
発達障害のある子どものなかには、人前に立つと極度に緊張してしまい、不安定な状態に陥る子どももいます。
本人が嫌がっているときは、無理強いせずに安心できる保育者のそばで演技をさせるなどの配慮が必要なときもあります。
また、練習のときに「本番ではたくさんのお客さんがくるけれど、先生がそばにいるから大丈夫だよ」と声をかけ、落ち着いて参加できるようにしましょう。
大きな音を嫌う子どもには?
行事には大きな音、にぎやかな音がつきものです。苦手とわかっていても、どうしてもこの音を使いたいという場合には、「もうすぐこういう音が鳴るけれど、びっくりしないでね」と事前に伝えたり、そのときだけその子どもが別の場所ですごすという方法もあります。
ただし、同じ場所でみんなと一緒に参加することに意義があるという考えもありますので、別の場所ですごすことは、慎重に検討をしていけるとよいですね。