1歳児や2歳児の言葉の発達段階を考えて発達を促すヒント
大人が話していることはわかるけれど、自分の思いを言葉で表現できなかった子どもたちは、1~2歳になるとたくさんの言葉を使えるようになっていきます。保育者は、子どもたちが豊かな言葉を覚えて使えるようになるため、どのようなサポートをすればよいのか考えてみましょう。
あふれるように言葉が出てきて、話すのが楽しい時期
多くの子どもは、1歳をすぎるころから単語が出てくるようになり、2歳になると「ワンワン、来たよ」などの二語文を話すようになります。自分の思いを言葉で話せるようになってくるこの時期は、子どものかわいらしい表現や独特の口調がおもしろく、保育者にとって保育がより楽しい時期でもあります。
保育者は、子どもが話しかけてきたら、きちんと聞いて返事をしましょう。また、積極的に話しかけることで、子どもが覚える言葉の数は飛躍的に増えていき、保育者や友だちとのコミュニケーションも、言葉で取れるようになっていきます。
言葉をよく吸収して真似をするので、言葉づかいには注意して
言葉が使えるようになってきた子どもたちは、かるたを全部覚えたり、絵本をまるまる一冊暗記するなど、言葉をよく吸収するようになっていきます。そして、家庭でのようすを園をよく話してくれたり、逆に園であったことを家庭で話すようにもなっていきます。
同時に「ばーか」「おしっこジャー」など、使ってほしくない言葉もたくさん覚えます。1~2歳児には使ってもよい言葉、悪い言葉の区別はまだよくわかりません。子どもはよく保育者の真似をするので、保育者は「超、○○!」「ヤバイ」など、子どもに使ってほしくない言葉を言わないように気をつけましょう。
豊かな言葉を使えるように
大人が話していることはわかるけれど、自分の思いを言葉で表現できなかった子どもたちは、1~2歳になるとたくさんの言葉を使えるようになっていきます。保育者は、子どもたちが豊かな言葉を覚えて使えるようになるため、どのようなサポートをすればよいのか考えてみましょう。
こんなときは、こうしてみよう
言葉の発達は、個人差が大きいものですが、保育者はどのようにサポートしていけばよいのでしょうか。よく見られるシーン別に考えていきましょう。
同じ言葉を何度も繰り返しますが、なんのことだかわからない場合
1~2歳児が話す言葉は、その子特有の表現の場合も多く、保育者が聞いても理解できないことがあります。そんなときは、子どもをよく観察してみましょう。耐えば、絵本を見ていて、いつも同じところでその言葉を言うことに気づけば、言葉の意味がわかるかもしれません。また、「え、何?」と、子どもに何回も聞き返すのではなく、「そうだね、○○だね」と、子どもの言った言葉を繰り返し、言葉で伝えることの楽しさを大切にしてあげてください。何回も言う言葉は、保護者に聞いてみてもよいでしょう。
「子どもが友だちに叩かれたようだ」というクレームを保護者から受けた場合
会話ができるようになってきたとはいえ、1~2歳児にとって、起こった出来事を正確に伝えるのは難しいことです。本来、自分から叩いてやり返されたことを「○○ちゃんが叩いた」など一部分しか話さず、保護者が不安になることも。保育者は、子ども同士のふだんの関係や、実際に園でどのようなことがあったのかを、丁寧に説明
しましょう。また、子どもが「叩かれた」と話したのは、保護者に「痛かったね」と共感してほしい気持ちがあり、共感することで子どもは元気になれることも伝えましょう。
言葉の発達を促すために、どんなことをしたらよい?
かるたや詩など、韻を踏んだリズムが楽しめるものを使ってみましょう。ただ読むだけではなく、画用紙に関連する絵を描いたりして、言葉遊びになるよう工夫しましょう。絵を描くだけで文字を書かなくても、何度も言っているうちに子どもは言葉を覚えます。例えば、画用紙の表に火鉢を描き、裏に火鉢で焼いた餅を描きます。表を見
せて保育者が「ひとつ ひばちで」と言って裏返し、子どもたちが「やいた もち」と返すなどの遊びもおすすめです。
「昨日」「今日」「明日」の使い方、間違うたびに正したほうがよい?
覚えた言葉を話すのが楽しく、間違っていてもたくさん使うことが大切な時期です。なかでも「昨日」「今日」「明日」など、過去や現在、未来を表す言葉の使い分けは難しいものです。保育者は、子どもが間違えるたびに「昨日じゃなくて明日だね」などと間違いを指摘するのではなく、さりげなく正しい言葉に直してあげるとよいですね。何度も繰り返すことで、徐々にどう使ったらよいかわかってくるでしょう。