保育参観のねらいと意味を理解して子どものようすを保護者に伝えましょう
保育参観とは、保護者に来園してもらい、子どものようすや普段の保育のようすを見てもらうことです。
園によっては、行事として取り入れているところもあるでしょう。
普段は子どもを預かり、保育をしているわけですから、子どもが園でどんなふうに過ごしているのか保護者は知らないことも多いことでしょう。
そこで、実際に見てもらうことで、子どもの成長や保育についての理解を深めるきっかけになるのが保育参観です。
子どものようすだけではなく、園での保育や、保育者の取り組みなどをみてもらえる機会でもあります。
保育者や他の親子との連帯を深め、孤立しがちな子育てを支える意味でも重要な行事です。
保護者との連携は子育て支援への第一歩です。
普段の保育を保護者にみられると考えて、緊張してしまう保育者もいるかと思いますが、あまり気張らず、特別な保育内容を見せる必要はありません。「
見せるための保育」にならないよう、子どもや保育者にとって負担や無理のない、ふだんどおりの計画を立てましょう。
「いつもの姿」を保護者に見てもらうことが一番のねらいであることを忘れずに、準備をしていけば大丈夫です。
保護者が家庭とは違う、園での保育者や友達との関わりであったり、保育者の子どもへの対応の仕方を見て、保育の場(集団)だからこそ体験できることへの共感と理解を得ることができるとよいですね。
保育参観の特性を理解したうえで、子どもの年齢に合わせて、園での自然な姿を見てもらえる方法を工夫することが重要になります。
保育参観とは
保育参観では、園での子どものありのままの姿を見てもらいます。
保護者が参観していることを子どもに意識させないように見学してもらいます。
ただ、保護者と子どもが一緒に活動をすることを企画することもよいでしょう。このことについては後でもご紹介します。
保育参観では、園でのふだんのようすを見ることで、家庭でのようすと違いがないか見てもらいましょう。
ここで保育者が注意してみておきたいこととして、家庭でのようすと園でのようすに違いがある場合、どちらかで自己発揮できていない可能性があるということです。特に、障害が疑われている子どもや虐待が疑われているような、リスクを抱えている子どもの場合は注意深く観察し、援助のきっかけにすることが大切です。
保育参観を成功させるポイント
事前のお知らせやお願いで保護者の協力をお願いする
事前のお知らせで、園としての方針や活動の観点、注意事項を伝え、当日の保育に対する理解と協力を得ておくことが大切です。
ありのままの姿を見てもらうため、参観中に子どもに声をかけないでほしい、支持を出さないでほしい、手を貸さないでほしいといったおねがいや、家庭ではみられない子どもの姿や態度などをたくさん発見し、認めてあげてほしいなど、伝えておきましょう。
また、保育の妨げにならないよう静かに見てほしいということも、場合によっては必要かもしれません。
親子で参加する活動を取り入れるときは、保育の活動に入ってもらうため、動きやすい服装で来てもらうことや、周りの子どものようすも見てもらうようお願いしてもよいでしょう。
親子で楽しくすごす活動を企画しましょう
普段の保育では、保護者がいませんね。
そこで、保育参観では、大勢の保護者に出席を呼びかけ、楽しく交流するのもよいでしょう。
ホールや園庭などに集まって、子どもたちがいつも楽しんでいるあそびに加わってもらい体を動かしたり、子どもたちが好きな歌を一緒に歌ったり、ほかの保護者や子どもともかかわりが持てる活動も盛り込みましょう。
子どもと過ごす楽しさを味わいながら、子どもへの接し方や子ども同士の関わりなど、保育への理解を深めてもらえるといいですね。
いつでもだれでも参観できる、見通しのよいクラス運営を
年度初めの懇談会などで「決められた日だけでなく、年間を通していつでも見に来てくださいね」とお知らせします。
「うちの子、お友達に乱暴しているようで心配です」「園ではなかなか自分を出せないようですが、どうですか?」などと保護者が不安を訴えるとき、園でのようすを見てもらうよう誘ってもよいでしょう。
保護者の理解を広げるようにフォローしましょう
けんかをする子、乱暴な子、話をきけない子などを保護者が「困った子」ととらえないように、子どもの成長の過程で見られる言動として、理解してもらえるような説明をしましょう。
また、その日の行動が園生活のすべてではないことも伝えます。参加や参観を意識して、いつもの行動と違う態度になってしまった子どもがいたら、フォローしましょう。
保護者の声を保育に反映させる
家庭でのようすと、園でのようすの違いなど、保護者の声を聞ける貴重な機会です。
参加や参観の後には、懇談会を設ける、アンケートをとるなどして、感想や気づいたことを教えてもらいましょう。
意見や質問にはきちんと対応し、保護者が園への信頼感を持てるようにします。批判を受けたら「自分の保育を保護者と一緒に考え話し合うチャンス」と前向きに受け止めましょう。