保育園で手作りのお店屋さんごっこをしよう
お店屋さんごっこは、当日はもちろん、どんなお店をやるかを決めたり、商品を制作したりする過程にも醍醐味や保育のねらいがあります。
子どもたちが表現力や協調性を育みながら、お店屋さんごっこに取り組めるよう、できることを考えてみましょう。
子どもたちの意見を取り入れて、子ども主体のお店屋さんごっこを
子どもたちが大好きな「お店屋さんごっこ」。子どもたちは自分たちで作りたい品物を考え、買ってもらえるようにくふうしながら制作することで、表現力が豊かになります。
また、制作が苦手な子どもをほかの子が手伝ってあげるなど、自然と協力できるようになったり、一生懸命に制作した品物が売れることで、達成感を味わうことができます。
さらに、異年齢で活動することによって、3歳児や4歳児は、活動的な5歳児をお手本に張り切ってお店屋さんごっこに取り組むでしょう。
このように、子ども主体でお店屋さんごっこに取り組むことで、子どもたちのさまざまな「心の育ち」を期待することができます。
保育者は、この「心の育ち」に重点をおいて、お店屋さんごっこを援助することが大切です。子どもが主体的に取り組めるよう、きっかけづくりから当日までの保育者の関わり方のポイントを、流れにそってみてみましょう。
お店屋さんごっこで育まれるもの
表現力が育つ
子どもたち自身でやりたいお店を決め、作りたい品物を考えて作ることで、制作意欲がわき、既成概念にとらわれないオリジナリティに富んだ制作物がうまれます。
また、品物を売るためにどのようにしたらよいかと、ディスプレイや売る時のかけ声などを工夫をこらしたり、その工夫を友達に伝えたりすることで、コミュニケーション力が育ちます。
協調性がうまれる
クラス内だけでなく、異年齢間でのかかわりが深まります。また、自己主張をしたり、友だちの意見に耳を傾けたり、意見が行き違ったときには折り合ったりする協調性がうまれます。
お店屋さんごっこを行うのは、いつがよい?
園にもよりますが、年が明けてから行うのがよいのではないでしょうか。年内に、クラスのお友達といっしょにあそび、生活をすることでだんだんと人間関係が築かれていき、年明けには、友だちの意見を聞く、思いやる、がまんするなどの心が育つため、団結してお店屋さんごっこに取り組むことができます。
お店屋さんごっこの流れ
1か月前
どんなお店をやるのかを決めましょう。近くの商店街を見学したり、100円ショップやパン屋さんなどを見て、イメージをふくらませましょう。
2~3週間前
担当するお店ごとに分かれて、具体的にどんな品物を売るかを決め、制作に取りかかりましょう。
数日前~前日
品物を作り終えたら、品物をの並べ方を考えたり、レジスターを作ったり、売り場の担当を決めましょう。
当日
呼び込みをして、売ったり買ったりすることを楽しみましょう。
きっかけづくり
子どもたちが「お店屋さんごっこ」に興味を持つために、保育者はどんなことを心がければよいのでしょうか。
まず、ふだんの園生活のなかでは、お店や買い物に関する絵本を読んだり、造形活動や自由あそびのなかで子どもが作ったものを品物に見立てて「○○屋さんみたいだね」「ひとつくださいな」などと、ことばをかけたりするとよいでしょう。
ふだんのあそびのなかで、子どもたちに人気のあるあそびをお店屋さんに発展させるとイメージを持ちやすいでしょう。
例えば、手紙のやり取りがはやっていたら、各クラスにポストをつくって手紙を投かんしたり、保育者や子どもが「郵便屋さん」になって手紙を届けたりすることでイメージがふくらみ、「郵便屋さん」に興味をもつ子どもが出てきます。
また、実際に商店街(パン屋さんなど)に買い物に行ってみるのもおすすめです。
品物やお店の人のようすを見ることで、どんなお店をやりたいのか、どんな品物を売りたいのか、イメージがふくらみます。
園に帰ってきたら、お店のようすを子どもたちと振り返り、見てきたことを発表してみましょう。
事前に「お店屋さん」に触れることで、子どもたちの活動への意識が変わり、主体的に取り組めるようになります。
4歳児、5歳児など、昨年もお店屋さんごっこを体験している子どもたちには、昨年のお店屋さんごっこのようすがわかるような写真や、残してあった制作物を見せたりして、楽しかったことを思い出させるようにしましょう。
1年前にひとつ年上の子どもたちがやっていたことが今年は自分たちでできるんだという、やる気につながります。
次のページではお店の決め方をご紹介します。