夏のプールでの症状や熱中症対策で気をつけること、ねらいとは?

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夏のプールでの症状や熱中症対策で気をつけること、ねらいとは?

暑さが厳しくなる季節は、子どもの体調に十分な配慮が必要です。保育者が特に気を付けたい、プールでの注意点や熱中症対策についてご紹介します。

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事故や感染症を起こさないために、万全の準備を整えます

子どもたちが大好きなプールあそび。ただ、夏は高温多湿で病原菌が繁殖しやすく、プールの水を介して感染症が蔓延する危険性も高いため、予防対策をしっかりと取ることが大切です。

また、水に入ると体力を消耗しやすいので、体調を崩していると感染症にかかりやすくなったり、事故やけがの原因になったりします。保護者との連絡や健康チェックをしっかりと行い、子どもの体調を見極めましょう。保育者は、プールに入れる病気と入れない病気を把握しておくことも大切です。

水質管理

水を介してO157(おーいちごーなな)やウイルスに感染する危険性があるので、必ず殺菌効果のある塩素で水を消毒します。また、プールあそびが終わったら、水を毎日取り換えましょう。

●塩素濃度は0.4ppm~1.0ppmを保ち続けること(「プール等取締条例施行規則」による)

●小さなビニールプールも、ふたり以上の子どもがいっしょに入る場合は必ず消毒する。

●休憩ごとに濃度を測り、下回っていたら塩素を追加する。

水温、時間は年齢別に決める

子どもの体力は年齢によって大きく違うため、クラスごとに水温やあそぶ時間の目安を決めておくとよいでしょう。特に乳児は体が冷えやすいので、水温は高めに、あそぶ時間は短めにします。

●水温の目安は乳児クラス28~30℃、幼児クラスは26~28℃

●時間の目安は、幼児クラスは30分くらい、乳児クラスは15分くらい

●天気や子供の体調を確認し、状況に合わせて調整する

保護者にする当日朝までの健康チェック

プールあそびをする日の朝、必ず保護者の子どもがプールに入ってよいかどうかを確認します。クラスごとにプール表などをつくって、朝の体温、プールに入るか、入れないかを○×で記入してもらいます。前の晩からのようす、睡眠時間なども記入してもらいましょう。トラブルを防ぐため、○×の記入がない場合は、プールに入れないといった約束事も決めておくとよいでしょう。

保育者のプールに入る直前の健康チェック

登園時の健康観察に加えて、プールに入る前は必ず体のようすをチェックします。感染症が疑われる症状があるときは、ほかの子どもにうつしてしまわないよう。プールは控え、場合によっては保護者に連絡し、病院で診察を受けてもらうようにしましょう。

充血はないか/涙目になっていないか/目やにが出ていないか/まぶたがはれていないか

のど

赤くはれていないか

傷はないか/湿疹やただれはないか

痛がっていないか/耳垂れはないか

鼻水や鼻づまりはないか

全身

発熱はないか/下痢はないか/痛がる場所はないか/ふだんと比べて体調はどうか

プールに入れる?入れない?夏に多い感染症

プールに入ることができる感染症

アトピー性皮膚炎

皮膚の炎症の状態によって、医師の許可があればプールに入れる。ただし、ジクジクした傷がある場合には、悪化することもあるのでプールは避ける。

アレルギー性結膜炎

目に強いかゆみや充血がある。感染の心配はないので、医師の許可があればプールに入れるが、水に顔をつけたら早めに目を洗うようにする。

アレルギー性鼻炎

鼻水、鼻づまりなど。かぜからくる急性鼻炎でなければ、プールに入ることができる。水を汚さないようにきちんと鼻をかむなどの注意が必要です。

滲出性中耳炎

鼓膜の内側の中耳に分泌液がたまる。自覚症状は少なく、耳の聞こえが悪くなって気づくことも多い。医師の許可があればプールに入ることができる。

水イボ

ウイルスによって腕や足、体に米粒程度のイボができ、体に広がっていく。感染力が弱いので、プールに入れる。ただし、水疱をかき壊しているときは避ける(園によっては、入れないという方針にしているところも)

頭じらみ

頭にしらみの卵がついて、孵化を繰り返す。多くは無症状。きちんと駆除ができたら、プールに入ることができる。水泳帽を着用することで感染を防ぐことができる。

 

プールに入ることができない感染症

プール熱(咽頭結膜炎)

夏風邪のひとつ。高熱、のどの痛み、目の充血などがある。水を介して感染することが多い。感染したら登園禁止。医師の許可があるまでプールに入れない。

はやり目(流行性角結膜炎)

まぶたがはれ、まぶたの裏に小さなブツブツができる。充血、目やに、発熱などもある。感染したら登園禁止で、医師の許可があるまでプールに入れない。

急性出血性結膜炎(アポロ病)

まぶたのはれ、涙目、白めの部分が内出血を起こして真っ赤になる。感染したら登園禁止。医師の許可があるまでプールに入れない。

手足口病

軽い発熱があり、手足や口に小さな水疱ができる。プールに入れるかどうかは、医師の指示を受ける。

下痢

水を介して細菌やウイルスに感染することが多いので、プールには入れない。大腸菌感染症が判明した場合は登園禁止。医師の許可があるまでプールに入れない。

とびひ(伝染性膿痂疹)

傷口に細菌がついて水ぶくれができ、やぶれると中の菌が別の場所にうつって全身に広がる。感染力が強いので、プールには入れない。

ヘルパンギーナ

突然高熱を出し、のどの奥に小さな水疱ができる。感染する可能性が高く、プールに入れるかどうかは医師の指示を受ける。

子どもたちといっしょにプールあそびのルールを確認

健康に、安全にプールあそびを楽しむためにも、子どもたち自身がプールで楽しくあそぶためのルールを知り、守る意識を持つことが大切です。子どもたちにも分かり易いように、ボードなどを作って、みんなでいっしょにルールを確認し、保育者がサポートしましょう。

プールに入れるかチェック

プールに入るためには、何が大切なの?次のことを、子どもたちといっしょに確認しましょう。

●よく寝たか
●朝ごはんをたべたか
●熱は測ってきたか
●つめは切ってあるか
●水着と帽子はあるか

プールの約束を守れるかチェック

ケガや事故がないように、プール遊びをするときのルールはしっかりと決めます。楽しくプールあそびをするときのルールはしっかりと決めます。楽しくプールあそびをするための約束事として、みんなで確認しましょう。

●準備体操をしてから入る
●プールの周りは走らない
●ふざけない
●先生の話をよく聞いて守る

プールの前はおしりをきれいに洗いましょう

おしりに便がついたままプールに入ると、感染症の原因になることもあります。子どもたちにも、プールに入る前と出たあとは、おしりを清潔にすることを教えましょう。プールに入る前は、必ずトイレに行き、それからおしりをきれいに洗います。小さい子は、保育者がせっけんでおしりをきれいに洗ってあげましょう。4歳くらいになると、他人におしりを触られるのを嫌がる子もいるので、自分でおしりを洗えるように練習をしましょう。
また、プールから出たあとは、目をよく洗い、シャワーを浴びて、プールの水を洗い流します。プールの前のおしり洗いと同様に、個々に応じて保育者が手伝いながら、少しずつ自分でできるようにしていきましょう。

また、タオルは必ず個人用のものを使いましょう。病気の原因菌やウイルスはタオルに付着しやすく、タオルを共有すると、ほかの子どもに感染症がうつってしまうことがあります。タオルは必ず個人で用意して使うようにします。

熱中症は、子どもの変化に注意して早めの対処を心がけましょう

熱中症は、気温が32℃以上、湿度が60%以上の環境で、水分補給が十分でない場合に発症しやすいと言われています。特に子どもは、体の水分比率が高く(大人50%に対して、子どもは75%)、汗を多くかく夏は、脱水症状を起こしやすいので注意が必要です。

蒸し暑い夏の日中は、室内でも熱中症を起こしてしまう危険性があります。風通しをよくしたり、エアコンを上手に活用したりして、室内の気温の調整を心がけましょう。熱中症は急速に症状が悪化することもあるので、子どもの変化を見逃さないように気をつけましょう。

夏の熱中症予防のポイント

水分補給をしっかりと

のどが渇いていなくても、こまめに水か麦茶で水分補給をします。スポーツドリンクは塩分や糖分が多いので、熱中症を起こしたときや、下痢、高熱があるときに飲ませましょう。

通気性のよい服を

夏場は、汗を吸い取りやすく、風を通しやすい綿素材の洋服が子どもにとっては最適です。おたよりなどを通して、保護者にもお願いしておくとよいでしょう。

日差しの強い時間帯の外あそびは避ける

外あそびや散歩は、午前中や夕方涼しくなってからにし、午後は室内でゆっくりと絵本を読むなど、体力をあまり消耗しない遊びをするようにしましょう。

室内の温度調整をしっかりと

エアコンを使用するときは、設定温度を27~28℃にします。子どもに直接風があたらないように配慮し、体が冷えすぎないようにしましょう。

こんな症状に気づいたら、熱中症のサイン

軽症の場合

顔色が悪い/めまいや立ちくらみでフラフラする/呼吸や脈が速い/おしっこが少ない/唇が乾く

重症の場合

ぐったりしている/体温が少し高い/頭が痛い、気持ちが悪いと訴える/手足が冷たくなる

熱中症の応急処置

涼しい場所で休ませる

風とおしのよい場所に移動して寝かせ、うちわなどであおぎます。

衣服を緩める

衣服などのボタンをはずして、ゆったりとさせます。

水分を補給する

小児用スポーツドリンクやイオン飲料、薄い食塩水を飲ませます。

体を冷やす

首の下、足の付け根に冷たいタオルを当て、室内ならエアコンの設定温度を最低にして体を冷やします。

こんなときはすぐに救急車を!

●水分を受け付けない
●熱が高く、呼びかけても返事がない
●全身がけいれんしている

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健康 屋外での活動
ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび