児童福祉法に規定されている母子生活支援施設
母子福祉の施設としては、児童福祉法による母子生活支援施設、母子及び父子並びに寡婦福祉法による母子・父子福祉センターや母子・父子休養ホームがあります。
その中で、母子生活支援施設とは、母子で一緒に暮らすことができる唯一の児童福祉施設です。
母子家庭の母とその子どもを入所させ、生活支援や就労支援、施設内保育を実施し、母子家庭の生活を支援しています。
児童福祉法には、配偶者のない女子やまたはこれに準ずる事情にある女子およびその者の監護すべき児童を入所させて、保護、自立の促進のために生活を支援する、と規定されています。
母子生活支援施設の支援
入所生活では、さまざまな支援を受けることができます。
その支援内容は、安心・安全な生活環境の提供と生活再建に向けた支援に大きくわけることができます。
施設を利用する親子は、経済的な事情やDV等からの避難等、安心して生活をすることが難しくなった母子です。
厚生労働省の調査によると、母子生活支援施設の入所理由は、「夫による暴力」が最も多く、45.7%で、次いで「経済的理由」が18.7%となっています。
経済的な事情や増加傾向にある女性からのDV等からの避難であっても、父子は入所することはできません。
安心で安全な日常生活の提供を通した支援を行うことが、母子の自立に向けたステップを踏み出すことにつながる大切な基盤づくりとなります。
また、母子の自立に向けて、具体的な生活再建の保障への支援を行うことで、施設利用の理由となった課題の解決につながっていきます。
この2つの支援内容を一体的に行うことができるのが、母子生活支援施設の特徴です。
母子生活支援施設の職員配置基準
母子生活支援施設には、母子支援員、嘱託医、少年の指導をする者、調理員、心理療法担当職員(心理治療を要する母子10名以上に治療を要すると認められた場合)、個別対応職員(DV等により個別的な支援が必要とされる場合)が配置されます。
この中で、母子支援員と少年の指導をする者は、保育士がなる場合があります。
母子生活支援施設に入所している母親の年齢層
母子生活支援施設を利用する母親の年齢幅は非常に広くなっています。
平成29年の調査では、母親の年齢層で最も多いのは、35歳以上40歳未満で、次いで30歳以上35歳未満、40歳以上45歳未満となります。
子どもの年齢が10歳代後半で母親の年齢は50歳代で入所するケースや、10歳代で母親になって入所するケース等、さまざまな利用者がいます。
母子生活支援施設では、このような背景を踏まえて、それぞれの家庭の状況に応じた支援を行っていくことになります。
母子生活支援施設での生活
母子生活支援施設では、各家庭ごとに生活をするのが一般的です。
施設を生活の拠点として、母親は就労したり、子どもが通学したりします。
アパートなど、一般的な集合住宅と同じような生活になっています。
ただ、一般的な集合住宅よりも、門限が設定されている場合がある等、集団としてのルールが加えられている場合もあります。
これは利用者の生活を守ることと、集団生活でのルールを守ることで、今後の生活課題の解決や自立支援につなげていくことためです。