保育記録は必要?保育記録の意義と書き方、ねらいとは?
忙しい日々のなかで保育記録を毎日書いていくのは大変、と思っている保育者は少なくないでしょう。
そこで、楽しくそして継続的に記録をつける方法と、保育へのいかし方をご紹介します。
クラスのようすを書く「保育日誌」と個人について書く「個人記録」
日々の保育のようすを記す保育記録には、「保育日誌」と「個人日誌」があります。
それぞれ子どもの育ちの記録が目的なのはもちろんですが、保育日誌は、クラスの活動やエピソードを記すことで、自分の保育を振り返り、明日以降の保育にいかすことができます。
個人記録は、子どもの成長を個別に記すことで、保育者がその子へどのようなアプローチをし、どのような変化があったか、また今後どのような援助が必要かを考えることができます。
次の活動につなげられ、今後必要な関わりが見えてくる
「保育日誌」」も「個人記録」も、継続して書くことが大切です。
それは、ひとつの小さな記録も、ある程度のスパンのなかでみると、子どもの育ちを読み取ることが出来、クラス活動の次のプロセスにつなげられたり、今後どのような援助が必要か見えてきたりするからです。
また、長期的に見ると、単月、単年だけでなく、次年度の保育にもつながってきます。
保育記録に活用法
日々の保育にいかす
保育日誌を振り返ると、活動前に設定した保育のねらいや活動内容、環境設定が適切であったかどうかが見えてきます。
子どもたちが楽しく活動できた場合は、どこがどうよかったのかを考え、想定したようにはいかなかった場合は、どこがどうよかったのかを考え、想定したようにいかなかった場合は、ここがよくなかったから次はこうしようなどと、明日以降の保育につなげていくことができます。
要録の作成に役立つ
個人記録からは、「苦手だったができるようになった」「まだできないけれど、がんばっている」など、子どもの過去から現在までの変化や成長が読み取れます。
要録には、「○○ができない」と書くのではなく、「○○には、こんなふうに取り組んでおり、2学期にはここまでできるようになった」など、経過や発達の流れのなかでのようすを記すとよいでしょう。
保護者との面談のきっかけに
個人記録からは、ある程度の期間の子どもの成長がよくわかるので、面談で子どもの姿を伝えるときにも役立ちます。
その際、気になるところや今後の課題から先に話すのではなく、まずは子どものよいところ、がんばってきたところなどを5つくらい話すと、保護者は「よく見てくれている」と信頼感をもち、その後課題や問題点を話したときに受け入れやすくなるでしょう。
クラスだよりに掲載するエピソードに
楽しい活動のエピソードを保育日誌に記す際、◎マークなどをつけて目立つようにしておくと、いざクラスだよりをつくるときに、時間をかけずにエピソードをひろうことができます。
エピソード探しではなく、保育の振り返りや制作の準備など、もっと時間をかけたいところにかけられるよう、くふうしましょう。
保育記録を楽しく書き続ける方法
実際にどんなふうにすれば、継続的に保育記録を書いていけるのでしょう。
記録のコツをご紹介します。
保育記録を書く時間がとれない・・・という悩み
一日の保育が終わったら、できるだけ記憶が鮮明なうちに記録(保育日誌+個人記録)をしたいですね。
職員室に戻ったらすぐに、30分間は記録に充てるなど、記録の時間を決めておくとよいでしょう。
時間をくぎることで、「やらなくては」という気持ちになります。
最初は時間内に書き終えることができなくても、徐々に慣れていくので大丈夫。
短い時間でよいので、習慣づけて、細く長く続けましょう。
また、個人記録は一日で全員すべて詳細に書くのはとても大変なことです。
例えば、一日に書く子どもの数は5人と決めて月~金曜日の5日間で25人分(クラス全員分)を書くなど、毎日の負担が重くならないように工夫すると効率よくまとめられるようになります。
その際、子どもたちをまんべんなく見られるよう、「正」の字をつけて記録した子どもをチェックすると把握しやすいでしょう。
保育中にうまくメモがとれない・・・という悩み
保育中に気づいたことや子どもの言葉などをメモしておきたくても、保育を中断するわけにはいかず、メモがとれないことはよくあります。
しかし、「これは覚えておかなくちゃ」という内容は、忘れないように書きとめておきたいですよね。
そこで、保育室の壁やドアにメモ用紙とペンをかけておき、キーワードをメモできるようにするとよいでしょう。
例えば「○○ちゃん なわとび」などと書いておくだけで、あとで見返したときに詳細を思い出すことができます。
ほかにも、トイレの壁に「トイレチェック表」を貼っておき、どの保育者が子どもをトイレに連れて行っても排泄があったかどうか記入できるようにしておくと、情報を共有することができます。
また、デジタルカメラも有効活用しましょう。
子どもの制作物を撮影しておくと、活動内容が具体的にわかり、その後の保育や翌年移行の子どもの保育の手立てにもなります。
生活面や友だち関係など、まんべんなく子どもを見れているのか不安です・・・という悩み
さまざまな視点からまんべんなく子どもを見られるよう、例えば、友だち関係は☆、あそびは★、生活は◎というように、項目別にマークをつけて、個人記録を書いてみましょう。
また、よいことはマーカーで囲んで、問題点や発達の課題などは囲まないなどと区別しておくと、さらにわかりやすいでしょう。
視点の偏りがなく見ることができているかが、ひと目でわかり、翌日移行の保育にいかすことができます。
意識して子どものよいところを見ることも大切ですね。
保育記録に5領域の視点をどう入れていけばよいのか、わからない・・・という悩み
保育中に子どもを見るとき、そのつど5領域を考えることは難しいですね。
そこで、子どもを見るときは「生活」、「あそび」「友だち関係」という視点で見てみましょう。
ふだんは、この視点で記録をし、学期ごとに1回、記録を振り返るときなどに5領域を考えることができれば十分です。
5領域の視点に当てはめて見返した際に、「この子は言葉が少し弱いかな」などとわかると、移行のアプローチへとつなげられます。
5領域に当てはめながら子どもを見て書くということにしばらすぎると、記録自体を難しく感じ、書くのがつらくなってしまうかもしれません。
保育記録を続ける3つの法則
●自分のペースをつくって無理なく
●難しく考えず、楽しく見やすく書く
●以降の保育につながることを忘れずに
保育園の児童票や保育経過記録、個別計画の書き方とは。
この記事で解決する問題 子どもの保育記録を書いているけれど、よりよい保育に向けて、ポイントを押さえた記録が書けるようになりたい。どのような視点で書いていけばいいのかな。 という疑問にお答えします。...