障害者基本法とは?合理的な配慮のポイントを押さえる

hoikunabi

障害者基本法を理解して保育に取り組む

障害者基本法では、毎年12月3日から12月9日までを「障害者週間」としています(第9条)。

ふだんから、さまざまな子どもと保護者に接する機会の多い保育者は、障害のある人と関わる機会も多いでしょう。ここでは、障害者基本法について、復習してみたいと思います。

ユニバーサルデザインを保育に取り入れるねらいとは?
ユニバーサルデザインを保育に取り入れるねらいとは? ユニバーサルデザインって何?という人、知ってるよという人、いろいろかと思います。 ここでは、ユニバーサルデザイン的な発想で考える保育のあり方について、ご紹介します。 ...
スポンサーリンク
スポンサーリンク

障害者基本法が定められた経緯

国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的に定められました。

法では、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。」としています。

障害者の社会参加を妨げるバリアには、私たちの意識が作り出してしまうものもあります。こうした意識のバリアをなくすためには、私たちが障害に対する理解を深め、感覚を磨くことにより、身近なところからバリアフリーを意識した行動を実践していくことが大切です。

次に、障害者制度のベースとなる法律、「障害者基本法」の一部改正法が平成23年7月29日に成立し、同年8月5日に公布されました。

第1条では、従来「障害者の福祉の増進」を基本法の目的としていましたが、根底から考え方を変え、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互の人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する。」と共生社会(インクルーシブ社会)の実現が明記されました。

障害者の定義

第2条では、障害者の定義が抜本的に見直されました。

従来は「障害者とは、障害があるために日常生活または社会生活に制限を受けるもの」とされ、制限を受ける原因を「障害があるため」とされていました。

これは一般に医学モデルと呼ばれるものです。

しかし、改正法では「障害または社会的障壁により制限を受ける状態にあるもの」とされ、社会的障壁つまり社会の側の原因によって制限を受ける人を障害者と呼ぶとしました。

これは社会モデルの採用と言われています。

また、その社会的障壁についても「障害があるものが日常生活等を営む上で障壁となる事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と定義されました。

第3条は、第1条でいう「基本原則」の柱を示した条文と言えます。共生社会の実現のため、
①社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加できる機会の確保されること
②どこで誰と生活するかについて選択の機会の確保されること
③手話を含む言語、その他の意思疎通のための手段についての選択の機会の確保されること
などを図っていくことが規定されました。

第4条では、障害を理由とする差別の禁止について規定しています。差別の禁止ついての規定は以前からありましたが、社会的障壁の除去について、障害者がそれを必要とし、その実施に伴う負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならない旨の規定が加わりました。

必要かつ合理的な配慮とは

ここでいう、「合理的配慮」とは、障害のある人が他の人と等しく人権や基本的自由を享有するための、必要かつ適切な変更・調整であって、かつ、不釣り合いであったり過重な負担を課さないものをいうと規定されています。

例えば、窓口で本人の希望に応じて、視覚障害者の方に対して、書面を読み上げたり、聴覚障害者の方に対して筆談を対応することが義務となります。

第5条では、地域社会における共生する社会の実現は、国際協調の下で図られなければならないと規定されています。

この改正では、これらの他にも

・障害児の療育について必要な施策を講じること
・障害者の防災及び防犯に関し必要な施策を講じること
・障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるよう必要な施策を講じること
・障害者が円滑に投票できるよう必要な施策を講じること
・障害者が司法手続きの当事者等となった場合、意思疎通の手段の確保や関係職員への研修等、必要な施策を講じること

等が規定されました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
保育者
ほいくなびのプロフィール
保育をしている人を応援するサイトです。これからも、よりよい保育を実践していきたいです♪横浜市に引っ越したことを機に、これまで勤務していた保育園を退職。いまは新たな園で勤務し、バタバタな毎日を過ごしています。転職することは不安もあったけれど、何とか頑張っていますヾ(*´∀`*)ノ 園では7月から始まるプールに向けて、掃除の話しが出てきました。本格的な夏まであと少し!
ほいくなび