子供の貧困が増加。貧困が子どもの育ちに与える影響とは?
保育や教育に携わっていると、貧困状態にある子どもやその家庭に気がつくことがありますね。
子どもの貧困率の高さが様々なところで取り上げられることが増えてきました。
乳幼児期の発達を考えるうえでも、保育や子育て支援を考えるうえでも、重要な課題となっています。
貧困という切り口から、子どもとその保護者を取り巻く環境をとらえて、日々の保育に生かしていきたいですね。
日本の子どもの貧困
2016年の国民生活基礎調査では、日本の17歳以下の子どもの相対的貧困率は13.9%で、2013年の調査からは1.3ポイント下がりました。
しかし、それでも17歳以下の子どもの相対的貧困率は依然として高い水準にあると考えられます。
日本では医療の進歩や国民皆保険制度などにより新生児死亡率や乳児死亡率は世界で最も良い状態が続いていますし、子どもの育ちの環境を総合的に評価する「The Children Development Index」も世界一となっています。
しかし、子どもの貧困が今後も高い水準で続くのであれば、日本の子どもの死亡や健康に悪い影響を与えることが危惧されており、国は2013年には「子どもの貧困対策推進法」が制定され、2021年における子どもの貧困率を10パーセント未満にすることを目指しています。
乳幼児期の子どもの貧困とは
子どもの貧困は、母親の妊娠期と乳幼児期から顕在化します。
そして、乳幼児期の貧困が学童期の貧困、青年期の貧困、成人期の貧困、家族形成期の貧困、高齢期の貧困へとつながっていくこと、世代を超えて親から子へと貧困がつながっていくことが指摘されています。
子どもの貧困は保護者が貧困状態にあることから始まっていることを理解しておくことが大切です。
貧困は人間の命と健康、基礎的生活基盤を揺るがすことになります。
貧困状態にある家庭で育っている子どもは、食生活の貧困、ワクチンの未接種、家庭における養育者の不在状況、場合によっては子どもへの虐待が起こることもあります。
子どもの貧困に気づくためのポイント
子どもの貧困は見えにくいものですが、子どもやその保護者のようすを意識して表情や外見、行動などを見れば貧困の兆候と実際を把握することができます。
子どもの貧困は保護者の貧困でもあるので、子どもだけでなく、その保護者にも注意をすることが大切です。
子どもの表情を観察する
貧困状態にある家庭で育っている子どもは、表情が暗く、喜怒哀楽の表現が乏しい傾向にあります。
貧困を抱える家族関係にはあまり豊かなコミュニケーションを育むだけの余裕がない暮らしの影響がみられることがあります。
食事のようすを観察する
食事のときに、食べ物の好き嫌いが激しい子どもは、食生活に問題があるかもしれません。
また、食べ方がガツガツしている子どもや、体格のわりに大量に食べる子どもも要注意です。
家庭での食事が十分に取れていない、食生活が乱れている可能性があるからです。
肥満傾向や低身長、低体重が顕著である子どもも要注意
子どもの年齢の平均的な子どもと比べて、貧困状態にある家庭の子どもは低身長であったり、低体重である傾向が見られます。
また、食事の乱れから、インスタント食品やお菓子などが食事代わりであることがあるので、肥満傾向が目立つこともあります。