保育園での怪我は保護者対応もしっかりと。
子どもたちの安全を守ることは、保育者の大切な仕事のひとつですね。子どもは大人と比べて、体のバランスが悪いため、突然動いたりする子どもが転んだりぶつかったりするのはなかなか避けられません。
まずは、危険が予測できる場所や時間での安全対策に十分配慮をしましょう。定期的に遊具を点検する、角の鋭いものはカバーをするなど、ケガや事故につながる可能性を減らすのもよいですね。
さて、このページでは、実際にケガをしてしまった場合の対処法をご紹介しますが、子どもがケガをしてしまった場合は、あわてずに落ち着いて対応しましょう。
患部の応急手当をし、その後も子どものようすをよく観察してケガの経緯と程度を保護者に伝えます。
園だけでは対応できない場合は、救急車を呼んだり病院で受診するなど、臨機応変に行動できるよう普段から備えておきましょう。
すり傷や切り傷にどうやって対処する?
まずは傷口をよく洗い、清潔にしましょう。屋外で転んだりして、すり傷ができた場合は砂や土などが傷口についていることも多いので、しっかりと水で洗い落します。
そして、消毒をしてから絆創膏や滅菌ガーゼをあてておきます。
切り傷は、小さな傷なら数分で出血が自然に止まりますが、出血の多いときは傷口を厚めのガーゼで押さえて止血します。
出血がおさまったら、消毒してガーゼや絆創膏で傷の保護をしましょう。
こんなときは、病院へ!
●出血が止まらないとき
●切り傷の傷口がギザギザで深いとき
●ガラスや石などの異物が傷口から取れないとき
頭を打ったときはどのように対処する?
頭を打った場合は、まず打った箇所がへこんだり、切れたりしていないかを確認します。
傷があれば手当てをし、こぶになっているときは濡らしたタオルなどで冷やします。
頭を打って、脳内で出血している場合、時間が経ってから意識障害や手足の麻痺などが起こることもありますので、顔つきや手足の動きに異常がないか、ようすを見守って保護者にも注意してもらうよう伝えましょう。
こんなときは、病院へ!
●名前を呼んでも反応しないなど、意識がないとき
●おう吐をしたとき
●けいれんがみられるとき
●痛みが強く、ずっと泣き止まなないとき
怪我をしたときの応急処置
実際にケガをしてしまった場合の対処法をご紹介しますが、子どもがケガをしてしまった場合は、あわてずに落ち着いて対応しましょう。
患部の応急手当をし、その後も子どものようすをよく観察してケガの経緯と程度を保護者に伝えます。
園だけでは対応できない場合は、救急車を呼んだり病院で受診するなど、臨機応変に行動できるよう普段から備えておきましょう。
目に異物が入ったときは
目に小さなゴミなどの異物が入ったときは、手で目をこすらせないようにして、できるだけ涙と一緒に出させます。
それでも取れない場合は、水に顔をつけさせて目をパチパチとさせます。
ゴミや異物がはっきりと見えるようなら、ガーゼの端や綿棒などでそっととります。無理にとろうとすると、角膜や結膜を傷つける恐れがあるので、注意しましょう。
こんなときは、病院へ!
●異物を取り除いても目を痛がり、泣き止まないとき
●充血がひどいとき
●ガラス。金属片、洗剤などの薬品が目に入ったとき
骨折や捻挫のときが
転んで、不自然な姿勢で手をつく、手足の指をぶつける、ドアにはさむなどしたときは、腫れや内出血がないかを確認しましょう。
触ったり、動かそうとすると激しく痛がるときは骨折の疑いがあるので、患部が動かないように添え木を当てて、包帯で固定し、病院へ。
手首や足首の捻挫は、患部を動かさずに安静にし、保冷剤や濡れタオルなどで20分~30分冷やします。
こんなときは、病院へ!
●腫れがひどく、内出血しているとき
●打った部位を自力で動かせないとき
●痛みが強く、泣き止まないとき
虫にさされたとき
蜂の針が残っているときは、清潔な毛抜きを使って抜き取り、血を押しだすようにして、毒を取り除きます。
流水でよく洗ったら、冷たい濡れタオルなどで冷やしましょう。
毛虫や毒蛾にさされたときは、流水でよく洗い、かゆみ止めの薬を塗ります。
こんなときは、病院へ!
●たくさんの蜂にさされたとき
●さされた後、気分が悪くなったとき
●腫れや痛み、かゆみがひどいとき
やけどをしたときは
部分的な軽いやけどの場合には、すぐに流水で患部を冷やしましょう。
指などの関節部分のやけどは、軽傷でも皮膚がくっついてしまう場合があるので、注意して観察します。
水ぶくれができたり、痛みがひどいときは病院で受診しましょう。
こんなときは、病院へ!
●皮膚の変色がひどいとき
●やけどの面積が大きいとき(体表面積の5%)
●顔や頭にやけどをしたとき
鼻血が出たときは
頭を上に向けるとのどに鼻血が入りやすくなるので、顔を少しうつむきかげんにして安静にしましょう。
血が垂れてこないように鼻の穴にティッシュを軽くつめたり、血が出た側の鼻のつけ根を指で圧迫したりします。
のどにきた鼻血は飲み込まないように吐き出させます。鼻血がとまったときも30分程度は安静を保ちましょう。
こんなときは、病院へ!
●30分以上、出血が止まらないとき
●鼻をぶつけて変形したり、鼻に痛みがあるとき
救急車を呼ぶときの注意点
救急車を呼ぶ際に、気をつけておきたいことをお伝えします。
頭を打って意識がないときや、けいれんが続くときなど、園では対応できない処置を急ぐ場合は、救急車を呼びます。
電話のかけかたは、局番なしの「119」番。子どもの年齢や症状とともに、いつどこでどうなったか、状況も落ち着いて説明します。
園では保険証の控えを出しやすいように整理しておき、付き添う人と代わりの保育者の配置などの体制や、保護者への連絡方法など緊急時の対応を確認しておきましょう。
救急箱の中身は、定期的に点検して使いやすく
救急箱は、いさというときにいつでも使えなければ意味がありませんね。
定期的に備品の有効期限や不足しているものがないかを点検しましょう。
園の救急箱に用意しておきたいものは、体温計やばんそうこう、ガーゼなどの応急手当てに使う医療用具一式です。
基本的に、園では保護者の依頼や医師の指示なしでは薬を与えられないので、薬類については虫さされや皮膚を保護するための軟膏程度を用意すればよいでしょう。
救急箱チェックリスト
絆創膏/滅菌ガーゼ/テープ/包帯/三角巾/脱脂綿/アルコール綿/綿棒/はさみ/毛抜き/ピンセット/スポイト/体温計/保冷剤/生理食塩水(歯が折れたときに使用します)
※体温計やピンセットなど共有するものは、一度使ったらアルコール綿で消毒するなどして、衛生的に保管しましょう。
※滅菌ガーゼなど使用期限のあるものは、期限がすぎたら買い替えをしましょう。
常備薬チェックリスト
虫さされ用軟膏・塗り薬/ワセリン(皮膚の保護)/消毒液
※園では医師の指示なしでは投薬できませんが、虫さされに軟膏をつけるなどの処置は可能です。園で軟膏をつけた場合は、そのことを保護者にも報告します。